パリ五輪の開会式の演出がフランス国内外で物議を醸している。性的少数者らによるパフォーマンスがキリスト教を嘲笑したとして、カトリック関係者や右翼政治家などが反発。脅迫や誹謗(ひぼう)中傷を受けた出演者が告訴する事態に発展した。 批判されてい…

 パリ五輪の開会式の演出がフランス国内外で物議を醸している。性的少数者らによるパフォーマンスがキリスト教を嘲笑したとして、カトリック関係者や右翼政治家などが反発。脅迫や誹謗(ひぼう)中傷を受けた出演者が告訴する事態に発展した。

 批判されているのは、7月26日の開会式の後半で派手な衣装やメイクで女装した「ドラァグクイーン」や性的少数者の歌手、DJが歌やダンスを披露した場面。出演者が並んで長いテーブルにつくように見える様子などが、キリストと弟子を描いたレオナルド・ダビンチの「最後の晩餐(ばんさん)」をモチーフにしていて、キリスト教を揶揄(やゆ)したなどと一部で受けとめられた。

 開会式前に五輪休戦のミサを開いたカトリックのフランス司教会議は「式典にはキリスト教に対する嘲笑が含まれていた」とする声明を発表。仏国内の右翼政治家からも「国際的な恥」などの批判が上がったほか、米国の通信会社はX(旧ツイッター)で五輪からの広告の撤回を表明した。

 一方、開会式の芸術監督を務めたトマ・ジョリー氏は28日に出演した番組で、式典について「嘲笑や非難ではなく修復や和解を望んでいた」と説明。問題視された場面は「『最後の晩餐』から着想を得ていない。オリンポスの神々に関連づけた異教徒の祭りを開くというアイデアだった」として、キリスト教との関連を否定した。