今週開催されるWRC第9戦ラリーフィンランド(グラベル)では、WRCイベントでは初めてバーチャルシケインが導入される。 これまでラリー競技においても、安全対策として平均速度を落としたり、特にチャレンジングなセクションの前に速度を抑えさせる…

今週開催されるWRC第9戦ラリーフィンランド(グラベル)では、WRCイベントでは初めてバーチャルシケインが導入される。

これまでラリー競技においても、安全対策として平均速度を落としたり、特にチャレンジングなセクションの前に速度を抑えさせるためにシケインを設定させることは珍しくはない。ステージ上に牧草ロールなどが置いてあり、マシンが手前で減速し、牧草ロールの間を縫うように通り抜け、また加速してフルスピードに戻る、というのはおなじみの風景だ。前戦ラトビアでは、土曜日にヒョンデのオィット・タナックが、メカニカルトラブルでジャンプポイント後のコーナーで速度を落とすことができず、牧草ロールに当てていたのは記憶に新しい。

しかしこの方法では、マシンを傷つける可能性や、位置がずれた牧草ロールを元の位置に戻すための人員が必要といった欠点がある。

こうした問題を解決することを目的に、今回のWRCフィンランドでは、8月1日木曜日に行われるシェイクダウンと8月3日土曜日に行われるSS13/SS16のオウニンポウヤ(32.98km)に、バーチャルシケインが設定される。バーチャルシケインは、昨年のERCラリーディローマ・キャピターレで採用された。

ラリーカーは、バーチャルシケインとなる200mのゾーンのどこかで時速60kmまで減速しなければならない。車内のトラッキングの画面には車速が表示され、目標速度になると瞬時に緑色に変わる。目標速度まで減速すると、それが200mゾーンのスタート地点近くであろうと終了地点近くであろうと、ラリーカーは再び加速することができる。

ゾーンが始まる手前には、300m、200m、100m地点にカウントダウンのサインが掲示される。また、車内に装着されているトラッキングの画面にも同じ距離でカウントダウンが表示される。道路上には、バーチャルシケインのスタートとゴールがアーチで示される。





ターゲットである時速60kmまで減速できなかった場合、ステージのフィニッシュタイムに対して時速1kmオーバーにつき2秒のペナルティが加えられる。例えば、ゾーン内での減速が時速63kmまでしか行われなかった場合、6秒のタイムペナルティが与えられることになる。





バーチャルシケインの導入により、WRCに新たな戦略性が加わることになる。ゾーンとなる200mのどの時点で減速しても構わないため、チームはアプローチについて慎重に計画を立てなくてはならなくなるだろう。最適な減速・加速ポイントを選択することは、ステージタイム、ひいては最終順位に影響する可能性もある。

WRC初登場のバーチャルシケインがどのような効果をもたらすのか、今週のシェイクダウンとオウニンポウヤで注目してみよう。