自身連覇を達成した一二三、妹・詩への気持ちを明かした(C)Getty Images 現地時間7月28日、パリ五輪の柔道男子66キロ級の決勝が行われ、世界ランク6位、日本の阿部一二三がブラジルのウィリアン・リマに勝ち、五輪2連覇を達成した。【…

自身連覇を達成した一二三、妹・詩への気持ちを明かした(C)Getty Images

 現地時間7月28日、パリ五輪の柔道男子66キロ級の決勝が行われ、世界ランク6位、日本の阿部一二三がブラジルのウィリアン・リマに勝ち、五輪2連覇を達成した。

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 阿部は残り2分12秒で技ありを奪うと、さらに袖釣り込み腰で合わせ技一本と圧倒的な強さを示し、2大会連続となる文句なしの金メダルに輝いた。

 戦う過程ではきょうだい連覇を目指した妹の詩が2回戦で敗退という衝撃的な事態もあり、顔色を変えずに試合に臨んでいたが、金メダル獲得後は苦しい胸の内を明かした。

 畳を降りたとたんに男泣きした一二三は「きょう妹も負けてしまって、妹の分まで兄が勝たないとと思って。苦しかったが、そこは兄としてやるしかない。気持ちは抑えてました」と試合後のインタビューでは声を震わせた。

 その一二三も金メダルへの道は厳しかった。準々決勝では技ありで試合を優位に進めていく中、2度の鼻血を出すアクシデントにも見舞われた。3度目の出血となれば棄権となる中、2度目の中断から戻ってきた阿部は大内刈をしっかり決めて合わせ技一本、日本柔道界のエースとしての自負を示した。

 世界ランク1位のモルドバのデニス・ビエルとの準決勝もゴールデンスコア(延長戦)までもつれる、両者一歩も引かない好勝負となり、最後は払い技で技ありを奪い、決勝進出を決めた。

 インタビューでは「最高の思いです」としながらも、「この3年、東京が終わってから凄い苦しい思い、しんどい思いばかりで、そんな楽な道ではなかったので」と苦しかった道のりも振り返った一二三。 

 妹の詩も観客席で見守る中、家族一丸となって勝ち取った金メダルは日本柔道史上通算50個目とメモリアルな記録ともなった。今後は4年後のロス五輪を見据える。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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