ホーム開催のように人が多くなくても、アイデア一つで試合会場をジャパンカラーに染め上げられる――。パリ五輪で驚きの光景が…

 ホーム開催のように人が多くなくても、アイデア一つで試合会場をジャパンカラーに染め上げられる――。パリ五輪で驚きの光景が生まれた。

 4年に一度の大舞台が開催されているフランスの、地方都市・ボルドー。ワインが有名なこの街の一角も、試合会場となっている。そして現地時間の7月27日、そのスタジアムを舞台に男子サッカーの第2戦が行われた。カードは、U―23日本代表とU―23マリ代表だ。

 大岩ジャパンにとっては初戦に続いて同じスタジアムでの開催となっていた。サポーターもこの2試合を見据えてボルドーで滞在していた人が多いが、第1戦から応援を“進化”させてみせた。

 というのも、初戦・パラグアイ戦では青いゴミ袋を用いて試合中は応援に、試合後は清掃に用いるアイデアを見せていたが、第2戦ではそれをさらに拡大。地元・フランスのファンや対戦相手であるマリ代表のサポーターにも青いゴミ袋を大量に配布したのだ。

 その結果、日本代表のベンチがあるゴール裏の一角からメインスタンドにかけて、青一色にジャック。サムライブルーを応援するためのまさかの光景が作り上げられたのだ。

■成し遂げた快挙

 アイデアを生かしたこの応援に、U―23サッカー日本代表もピッチで応える。3月の親善試合で完敗した相手に躍動すると、スコアレスのまま迎えた後半37分に山本理仁が決勝弾を記録。山本の嗅覚だけでなく、苦しい時間での細谷真大の攻めの姿勢など、多くの選手が献身的な動きを見せたからこそ生まれたゴールだった。

 この勝利で、大岩ジャパンは決勝トーナメント進出を決める。日本代表としてオーバーエイジを呼ばなかったチームとしては初めての快挙である。

 経験のある選手を組み込むことはできなかったが、このチームには偉大なサポーターがいる。観客席とピッチの上とが融合し、このまま栄光への道を突き進む。

(取材・文/中地拓也)

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