日本最高のプレーヤーである八村をどう生かすかが、ひとつの鍵になりそうだ(C)Getty Images パリ五輪・1次リーグB組の第1試合が7月27日に行われ、日本代表は格上のドイツ代表に77-97で敗れた。昨年のワールドカップ王者を…

日本最高のプレーヤーである八村をどう生かすかが、ひとつの鍵になりそうだ(C)Getty Images

 パリ五輪・1次リーグB組の第1試合が7月27日に行われ、日本代表は格上のドイツ代表に77-97で敗れた。昨年のワールドカップ王者を相手に善戦したこの試合を、「元日本代表選手」はどう見たのか。W杯や東京五輪で世界と戦い、現在はシーホース三河で活躍するシェーファーアヴィ幸樹に試合の感想を聞いた。

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 結果を見れば20点差で負けてしまいましたが、面白い試合でしたね。オフェンスもディフェンスも、日本が狙いとすることはできていたと思います。

 今の日本代表は、早いオフェンスを目指しています。点を取られても素早く切り替えて次のオフェンスに行くのが基本。3Pも軸になっていますが、ペイントアタックから相手のズレを作り、キックアウトしてから狙うのが理想形です。前半には渡邊雄太選手のファストブレイクからの3Pもありましたし、ああいう形をどんどん増やして行けば、もっと良くなると思います。

 ただ、終盤は八村塁選手が孤立する場面が増えたのが気になりました。切り込んでダンクを決めたシーンがあったように存在感は凄かったんですが、チームのスタイルに八村選手がフィットしているというより、”別枠”でプレーしている印象を受けました。

 このチームはゲームをクリエイトできるタイプの選手がメンバー構成的に少ない。そこも八村選手が苦労した部分かもしれません。特に河村勇輝選手がコートにいない時間は、八村選手が自分で面を取って、自分で仕掛けてと全部やらなきゃいけなかった。最初の方はコンビネーションもあったんですが、終盤に疲れてくるとポストアップだけするようなシーンが多かった。チームとして、その辺の課題を詰めていけば、さらに八村選手の良さが引き出されると思います。

 リバウンドは良かったですね。八村選手、渡邊選手、ホーキンソン選手が揃うとサイズがあるのでリバウンドでも戦える。オフェンスリバウンドへの飛び込みも良かったし、リバウンドで戦えるのは今までになかった日本の武器なので、今後も鍵になると思います。

 個々の選手で言えば、個人的には吉井裕鷹選手が本当に良かったと感じました。ドイツのシュルーダー選手をしつこくマークして献身的に守備をしていました。もちろん相手が力のある選手なので点は取られましたが、あの粘り強さは相手にしたら嫌だったと思います。オフェンスでもしっかりカッティングして他の選手のマークを外したり、気を利かせてチームに動きを作っていました。

 ディフェンス面を振り返ると、やられたくない選手をチームとして抑えることは徹底できていたし、トラップを仕掛けてボールを奪える場面もありました。ドイツのタイス選手とボンガ選手の3Pへのマークは捨てていて、そこは決められてしまったんですが、それ以外はやりたいディフェンスができていました。

 97点は取られましたけど、あれはドイツが上手だったと受け止めるしかない。個人の力で上回られた部分ですね。コミュ二ケーションミスだったり、高さのミスマッチで簡単に点を取られるシーンを減らして行けば、もっといいゲームができると思います。
 
 次のフランス戦を、どう戦うかは注目です。ウェンバンヤマ選手には八村選手をマークに付けてフィジカルで対抗するのが良さそうな気がします。フランスは完成度で言えばドイツより低いので、付け入る隙はあるはずです。

 こうした世界大会のレベルになると個々の力はやっぱり相手の方が上。もちろん、八村選手や渡邊選手、ホーキンソン選手だったりは1対1で対抗できますが、チーム全体で見るとどうしても不利になってしまいます。そこを補うためにはチームとして早いリズムを作ってペースを引き寄せるのが大事になる。後手に回らず、オフェンスでもディフェンスでも、先に仕掛けて戦いたいですね。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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