パリ五輪の開会式当日の26日に高速鉄道TGVが標的となった「破壊行為」をめぐり、フランス国鉄(SNCF)の幹部は仏メディアに対し、鉄道網を広範囲にマヒさせるために効果的な場所にある設備が狙われたとの見方を示した。一方、地元メディアは同日、…

 パリ五輪の開会式当日の26日に高速鉄道TGVが標的となった「破壊行為」をめぐり、フランス国鉄(SNCF)の幹部は仏メディアに対し、鉄道網を広範囲にマヒさせるために効果的な場所にある設備が狙われたとの見方を示した。一方、地元メディアは同日、今年5月に五輪の聖火が南部マルセイユに到着した日にも、TGVの路線でガソリンが入ったボトルと点火装置が見つかっていたと伝えた。

 SNCFによると、開会式直前の25日夜から26日未明にパリと北部リール、南西部ボルドー、東部ストラスブールをそれぞれ結ぶTGVの3路線で火災が起きた。パリから南部に向かう路線では破壊行為が未遂に終わった。

 SNCFのジャンピエール・ファランドゥ総裁は同日、仏ニュース専門局BFMTVなどの取材に、南西部の路線ではボルドーと北西部レンヌに向けて線路が分岐する地点に近い鉄道設備が破壊されたと指摘。1カ所への放火で二つの地域につながる路線が運行停止になったことなどから、犯人が「破壊行為」の効果を最大化するため、計画的に場所を選んだとの見方を示した。

 一方、捜査関係者の話をもとにしたBFMTVの報道によると、5月8日にはパリから南に向かう路線のうち南部のマルセイユとエクサンプロバンスの間のTGV線路付近で、ガソリンの入ったボトルが複数見つかっていたという。ボトルには点火装置が取り付けてあったが、発火前に発見されて被害はなかった。テロ対策を担当する警察当局が捜査しているという。