髙橋のオールラウンド性はチームの大きな助けになるはずだ(C)Getty Images「インスタグラム、フォロワー250万人の髙橋藍です!」 五輪本番に先立ち開催された日本バレーボール協会の壮行会での自己紹介。完璧なつかみで会場を盛り上げ、パ…
髙橋のオールラウンド性はチームの大きな助けになるはずだ(C)Getty Images
「インスタグラム、フォロワー250万人の髙橋藍です!」
五輪本番に先立ち開催された日本バレーボール協会の壮行会での自己紹介。完璧なつかみで会場を盛り上げ、パリ五輪が近づく中でも日々インスタグラムを更新し、練習時のリラックスした動画や写真をアップする。
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大舞台もリラックスして楽しんでいるように見えるが、実はイタリアで負った捻挫の影響は決して小さなものではなかった。ネーションズリーグのカナダ戦で痛みと違和感が生じ、以降の試合はファイナルも含めてすべて欠場。当然、髙橋自身も不安を抱えていたことを出発直前に空港で応じた取材時にも明かしている。
「まだ違和感はあります。でもリハビリは重ねてきているし、試合に出るか出ないかは監督が決めること。自分としては、出るのかな、という感じがあります」
パリでの五輪本番に先立ち、世界ランク1位のポーランドと対戦した親善試合で日本はフルセットの末に勝利した。「出るのかな」という予感は的中し、髙橋もケガの影響を感じさせないプレーでチームに勝利をもたらす原動力となった。
ケガをしても明るく、自身でも「細胞もポジティブだった」と笑わせたように心配もいらない。初出場した東京五輪から3年。石川と同様に、大学在学中にイタリアへ渡り、パドヴァ、モンツァで3シーズンを過ごすなど、数多く重ねた経験もすべて楽しみながら超えてきたように見えるが、実際はそれほど簡単ではない。
「3年間、パリオリンピックのために人生のすべてを懸けてきました」
もともと人と話すのが大好きで、バレーボールに割く時間はもちろんだが、家族や友人と過ごす時間があるからこそ集中できる。オンとオフの切り替えが必要な髙橋にとって、単身渡ったイタリアは、時に孤独で、常に自身と向き合わなければならない場所でもあった。チームメイトと交流を重ねる中で語学力もつき、イタリア生活にも慣れてはきたが、プロの世界で常に100%の力が求められる状況にあえて身を置き、自らを強くすることに焦点を当てて来た。
「東京オリンピックの時に、もっと自分の力があればベスト8以上に行けたと痛感させられました。石川(祐希)選手や西田(有志)選手、関田(誠大)選手のように、チームの軸となる選手がいる中で、自分はどうだったか、と言えばその人たちについていくのが精いっぱいで、チームを引っ張れたわけではない。もっと強くならなきゃ、と思って厳しい道を選んできました」
得意とするサーブレシーブはもちろん、課題として取り組んできた前衛からのスパイクやブロック、サーブ。1つ1つの技術にも磨きをかけ、今では日本代表で欠かせぬ存在へと成長を遂げた背景には、日本から遠く離れた地で、人知れず、見えないところで重ねてきた努力がある。だからこそ「人生のすべてを懸けてきた」と言い切る。
初出場の時はオリンピックの価値や、そこで勝つことの意味もすべてを理解できていたわけではないが、今はこの舞台で勝つことがどれほどか。よくわかっている。そしてだからこそ髙橋はハッキリと言い切る。
「一番いい色のメダルを持って帰ってくることしか考えていません」
進化の度合いを示す戦いは間もなく始まる。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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