新潟芝1000mの直線競馬は外枠、あるいは外ラチ沿いを走った馬が有利だ。それは過去のデータからも明らか。しかし、近年のアイビスサマーダッシュでは、内枠の馬が内ラチ沿いを選択するケースが見られるようになっている。  この戦法が最初に注目を…

 新潟芝1000mの直線競馬は外枠、あるいは外ラチ沿いを走った馬が有利だ。それは過去のデータからも明らか。しかし、近年のアイビスサマーダッシュでは、内枠の馬が内ラチ沿いを選択するケースが見られるようになっている。

 この戦法が最初に注目を集めたのは3年前、21年のアイビスSDだった。最内1番枠のバカラクイーンは好スタートを決めると内ラチ沿いへ。他の16頭が馬場の外側を走る中、対照的な進路取りから粘りに粘り、0秒3差の3着に大健闘。単勝130.0倍の14番人気だったため、1着が1番人気のオールアットワンス、2着が2番人気のライオンボスだったにもかかわらず、3連複は5万8270円、3連単は22万340円の高配当となった。

 この一戦を契機に、直線競馬で内ラチ沿いを走る馬が珍しくなくなった。アイビスSDでも、22年は4番のスティクス(5着)、3番のオールアットワンス(6着)、1番のライオンボス(10着)、2番トウショウピスト(18着)、昨年は4番のロサロッサーナ(15着)が内ラチ沿いを疾走。しかし、残念ながら「第二のバカラクイーン」にはなれず、善戦が精いっぱいとなっている。これは不思議な結果ではなく、「イン突き」はあくまで奇襲。バカラクイーンのような成功例が稀なのだ。むしろ最新のトレンドは内枠から一旦後方に下げてのアウト差し。昨年の勝ち馬のオールアットワンスもこのパターンで3番枠を克服し、2年ぶり2回目となるアイビスSD制覇を果たした。

 いずれにしても、直線競馬は陣営の作戦、そして騎手の手綱捌きが、結果に大きく影響する。また今年は降雨による馬場状態の悪化も予想される。そんな中どんなレースが繰り広げられるのか、50秒余りの決戦を心待ちにしたい。