馬術界の大スターだったデュジャルダン。誰よりも馬を愛していたはずの彼女が見せた蛮行が波紋を呼んでいる。(C)Getty Images 馬術会の“大物”のスキャンダルが波紋を呼んでいる。過去3大会で金メダル3個を含む計メダル6個の実績…

馬術界の大スターだったデュジャルダン。誰よりも馬を愛していたはずの彼女が見せた蛮行が波紋を呼んでいる。(C)Getty Images

 馬術会の“大物”のスキャンダルが波紋を呼んでいる。過去3大会で金メダル3個を含む計メダル6個の実績を持つシャーロット・デュジャルダン(英国)が、本格的な開幕を直前に控えた現地時間7月23日にパリ五輪出場を辞退したのである。

【動画】あまりにひどい…デュジャルダンが1分間に25回、馬にムチを打っていたとされる動画

 決断の理由は明白だった。23日に国際馬術連盟(FEI)に1つの告発が提出されたのだが、そこに添付された動画内に後輩を指導する際に馬を虐待するデュジャルダンの姿が映っていたのだ。

 執拗に馬を鞭打ちするショッキングなビデオが流出すると英国内のみならず、世界中で波紋を呼んだ。39歳のデュジャルダンは声明文において「弁解の余地はありません。私は自分自身を深く恥じている」と猛省。パリ五輪の辞退を決めた。

 まさにスター選手だった彼女の“蛮行”を受け、“貴族のスポーツ”とされる馬術そのものにも厳しい目が向けられている。英紙『Independent』は「FEIは馬術の将来について、近いうちに難しい決断を迫られることになるかもしれない」と指摘。今回のスキャンダルが「あくまで氷山の一角に過ぎない」としている。

 さらに今回の告発者から依頼を受けたというオランダ人弁護士のステファン・ウェンシング氏も同紙の取材で「デュジャルダンの出来事はこのスポーツにおける特例ではないということだ」と断言。「もっと多くの競技者が今回の騒動の行方を不安に思っているはずだ」と馬術界の「悪しき風習」を語った。

「業界の状況は変わる必要がある。これはスポーツではなく単なる動物虐待だった。馬術というスポーツに、今回の『動物虐待』が伴うものであるならば、それは容認できない。デュジャルダンがオリンピックでまた金メダルを獲得するかもしれないという姿を黙って見ているわけにはいかない。トップレベルのスポーツが馬の福祉事業を損ねる形でしか行われないのであれば、それは廃止されるべきだ」

 また、7度の五輪王者経験を持つイザベル・ワース(ドイツ)も「私たちのスポーツは深刻な危機にある。あらゆる不祥事と悪い評判は、その価値を脅かし、オリンピック種目としての馬術の終焉を意味している」と語っている。

 馬術界のスーパースターが起こした虐待スキャンダル。その影響は競技の存続も揺るがせるものとなっている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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