今年7月に開催された日本最大のスポーツ・健康産業総合展示会「SPORTEC(スポルテック)2017」に出展していたヤマハ発動機のブースで、見慣れないものを発見しました。それは……なんとプール。夏の日差し、塩素のニオイ、あのコのはじける水着…

 今年7月に開催された日本最大のスポーツ・健康産業総合展示会「SPORTEC(スポルテック)2017」に出展していたヤマハ発動機のブースで、見慣れないものを発見しました。それは……なんとプール。夏の日差し、塩素のニオイ、あのコのはじける水着姿でおなじみのあのプールです。

 ヤマハといえばピアノやバイクを思い浮かべますが、実はプールも作っているんです。なぜプールを作るようになったのか気になりすぎたので、プール事業推進部・営業部長の小川さんにお話をうかがいました。

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オイルショックがプール製作のきっかけ

 1973年。それまで、ヤマハ発動機はバイクやプレジャーボートなど若者に向けたレジャー商品が主でした。しかし、オイルショックがあり世の中の景気が悪くなったので、「新しい事業をはじめなければいけない」という方針を掲げることになって。そこで思い立ったのが、ボートに使われていたFRP(繊維強化プラスチック)を使用した、子どもや女性向けで静かな安息が得られるレジャー商品でした。

「当時は子ども用滑り台や、公園に置くペアシートなど、さまざまなアイディアが大量に出されたそうです。なかでも社内で注目されたのが子ども用プールでした」

▲初期のアイディアスケッチ。左/子ども用滑り台 右/スピーカーを内蔵するペアシート

 はじめは富裕層をターゲットとし、個人向けに販売していたそう。しかし、お金はあっても土地が狭かったり、子どもがいなかったりと販売は困難を極めます。当初の販売計画は1,000台を目標とし、TVCMや展示会で積極的にプロモーションを行いますが、効果はなかなかでなかったそうです。

「そんななか、ある営業担当者の親戚が幼稚園の園長をしていて。当時幼稚園で使われていたプールはビニール製が主流でしたが、安心・安全・清潔なFRPプールを気に入り、購入していただいたんです。それで手応えを感じ、幼稚園や保育園などに向けた業務用子ども用プールの開発を強く意識しました」

▲初代ファミリープール

▲家庭用プールとして当初は販売されていた

 それまでの子ども用プールはビニールプールが主流で、耐久性に乏しいものが一般的でした。ですが、FRPは軽くて丈夫・安心・安全で清潔。剛性や耐食性、耐久性も高く、さらに塩害にも強いため、塩素の使用が一般的な日本のプールに適していました。

「ヤマハ音楽教室をモデルに、心理学の先生や、スイミングスクールのインストラクターに協力してもらい、幼稚園の先生が子どもに水泳を教えるための教室を開くなど、プール指導の普及活動もはじめました。指導が本格的に普及し始めるにつれて、ユーザーのプール選びも大型化の傾向が見られるようになりました」

▲ピアノやハーモニカをイメージしたヤマハならではのデザイン

 ニーズの拡大により、子ども用プールはさまざまなバリエーションが展開されます。販売台数も3年後には飛躍的な伸びを記録することとなりました。

▲現在の子ども用プール

▲組み立て式で、敷地に合わせてサイズが調節できる「ユニットプールきらきら」の模型


高い安全性 排水口の吸い込み事故はゼロ件

 ヤマハ発動機は子ども用プールにとどまらず、25mプールの開発も手がけるようになります。どういった経緯で開発に至ったのでしょうか?