遂に今週開幕となる「パリ2024オリンピック」。現地時間7月26日の開会式翌日、7月27日に開催されるスケートボードストリート男子。東京2020オリンピックと同様、予選と同日で決勝が行われる。本記事では注目選手や、注目トリックなどを予想する…
遂に今週開幕となる「パリ2024オリンピック」。現地時間7月26日の開会式翌日、7月27日に開催されるスケートボードストリート男子。東京2020オリンピックと同様、予選と同日で決勝が行われる。本記事では注目選手や、注目トリックなどを予想する。
本種目はオリンピックの正式種目に採用されてから2度目となるが、前回の東京大会ではコロナ禍の影響もあり、無観客になるなど異例のオリンピックデビューとなった。しかし今大会ではパリ市内でも中心地であるコンコルド広場に特設会場を置き、満を持して有観客の中で開催される。
注目のパリオリンピック出場選手
堀米雄斗 Photo: OIS/Jonathan Nackstrand. Handout image supplied by OIS/IOC
まず、注目株筆頭は前回オリンピックの金メダリストで連覇が期待される堀米雄斗(世界ランキング3位)。最終予選では最終戦を前に出場圏外という誰もが予想しない展開だったが、見事に苦境をひっくり返して大逆転でパリオリンピック出場権を手に入れた。
ランは比較的安定してスコアを出している堀米、注目トリックとなるのが自身の名前もついた「ユウトルネード(ノーリーフロントサイド270ノーズスライド270アウト)」と予選最終戦で見せた「ノーリーバックサイド270バックサイドテールブラントスライド」が決まるかが注目されるだろう。
もう一つ挙げたいのが「スイッチ360フリップリップスライド」だ。このトリックは2022年の「X Games Chiba」で初披露した経緯がある。ランで有利な位置につけられればこの3トリック、あるいはさらなる新技でオリンピック2連覇なるか。
堀米の連覇を阻止する可能性に注目すると、日本の小野寺吟雲、白井空良、アメリカのナイジャ・ヒューストンあたりが対抗となりそうだ。
小野寺吟雲 ©︎Atiba Jefferson / World Skate
小野寺吟雲はパリオリンピック予選を経て世界ランキング1位で通過し、金メダル最有力候補。レールでの回転トリックイン、回転トリックアウトのバリエーションは世界でもトップクラス。
非常に難易度の高いリスクのあるトリックを「ラン」と「トリック」の両セクションで繰り出しハイスコアをメイクし続けている。14歳とは思えないメンタルの強さも併せ持ち、追い込まれた状況からでもしっかり立て直す強さも持っている。
オリンピックという世界最大の舞台でもスケートボードを楽しむパフォーマンスを発揮すれば頂点に近い存在という可能性も高いだろう。
白井空良 Photo: OIS/Jonathan Nackstrand. Handout image supplied by OIS/IOC
続いては東京オリンピック出場経験のある白井空良(世界ランキング2位)。
予選のフェーズ1では世界ランキング1位で通過して、優勝候補でありながら東京オリンピックでは予選落ちと悔しい結果になった前回大会の雪辱を誓った今大会。パリオリンピックに掛ける思いは人一倍強く感じる。
「トリック」セクションで強さを発揮する白井の課題は「ラン」セクションだ。
OQS2024上海大会でも「ラン」セクションが振るわず、まさかの準決勝敗退となった。しかし続く最終戦のOQS2024ブダペスト大会では見事に「ラン」をカバーし、非常に強いライディングを見せていた。
今大会では「ラン」でしっかりまとめられるか、大会では一度も出していない「フェイキーキャバレリアルノーズピックグラインド」をトライするかが注目となる。一方で大会を直前に控えて体調不良により入院していたとの情報が入り心配だ。どのくらい練習できていないのかは不明だが、体力や筋力が本番までに少しでも戻ることを願う。
ナイジャ・ヒューストン ©︎Atiba Jefferson / World Skate
白井同様、オリンピックに掛ける意気込みを持つライダーがアメリカにもいる。
それがナイジャ・ヒューストン(世界ランキング5位)だ。10代前半から数々の世界タイトルを獲得してきたナイジャ、当然東京オリンピックも金メダル争いをしてくると誰もが予想していたが結果はまさかの7位に終わった。
しかし直近では、X Gamesでも2つのゴールドメダルを獲得し、歴代ゴールドメダル獲得記録に並ぶなど調子も上げてきている。金メダル候補筆頭であることは間違いない実力の持ち主である彼が東京オリンピックのリベンジなるか。
トリックの見どころはスイッチスタンスやノーリーでの回し技からレールやレッジにインする非常に難易度の高いトリックバリエーションがあるのでそちらに注目だ。
そして開催国フランスのオーレリアン・ジロー(世界ランキング10位)も注目だ。フェーズ1ではしばらく白井やナイジャを抑えて世界ランキング1位の座にいたが、怪我の影響か予選大会も出場したりしない状況が続いた。
OQSシリーズから予選大会に戻ってきたが実戦感覚はまだ取り戻せていないように感じた。しかし、世界王者になる実力の持ち主であり「ハードフリップリバート」やバンクなどを使い大きなエアーで回し系トリックをするなどビッグトリックを得意とするスタイルなので一度波に乗り出すと手がつけられないライダーだ。
グスタボ・リベイロ ©︎Jason Halayko / World Skate
ポルトガルのグスタボ・リベイロ(世界ランキング6位)も難易度の高い回転トリックでレールやレッジに入ってから回転トリックアウトするバリエーションを多数持ち、ハイスコアをコンスタントにマークする実力者だ。世界王者経験もあり、パリオリンピックでもメダル候補の1人だが、ここ数戦はスコアメイクに苦しんでいるように感じた。
パリオリンピック本番では「ビガースピンフリップボードスライド」や「360キックフリップフロントサイドノーズグラインド」、「360キックフリップノーズブラントノーリーヒールフリップアウト」を決め切れるかが、メダル獲得またはメダルの色を左右すると予想する。
ジャガーイートン Photo: OIS/Kieran Cleeves. Handout image supplied by OIS/IOC
前回の東京オリンピックで銀メダルを獲得したブラジルのケルビン・ホフラー(世界ランキング11位)、同じく銅メダルを獲得したアメリカのジャガー・イートン(世界ランキング4位)にも注目。
ケルビンは怪我の影響で予選から思うようなパフォーマンスができておらず、パリオリンピックでもどこまで本調子に戻せるかが結果を左右することになるだろう。
一方でジャガーは、パークスタイルとの二刀流でのパリオリンピック出場を目指していたが最終戦のOQS2024ブダペスト大会で代表争いをしていたトム・シャーに逆転を許し、出場権を奪われストリートに専念することに。
精神的にはショックだったが体力面やストリートでの戦略に集中出来る環境という点ではプラスの要素となるだろう。過去にはストリートでも世界一にもなっているので金メダル争いに加わると予想している。
ジオバンニ・ヴィアンナ ©︎Kenji Haruta / World Skate
筆者がこれまでにあげたライダーに風穴を開けると予想するのがブラジルのジオバンニ・ヴィアンナ(世界ランキング12位)だ。世界一にも輝いた経験のある実力もさることながら、そのライディングスタイルは非常に注目。
複雑なフリップトリックよりも自身が複雑に回る旋回系トリックからレールやレッジに入ることが得意で、決まればハイスコアをマークできるトリックを多数持っている上、ここ一番での勝負強さも併せ持っている。
「フェイキーフロントサイド180バックサイドスミスグラインド」 や、「フェイキーキャバレリアルフロントサイドブラントスライド」などが得意トリック。
「ラン」でどこまで上位につけるかがメダル争いの鍵を握るだろう。筆者は金メダル争いダークホースに名前をあげたいと思う。
約2年間に及ぶ予選を勝ち抜いてきた22名の実力者揃い。数多く開催されているどの世界大会とも異なる独特な雰囲気で頂点に立つのはどのライダーか。
2連覇か、ニューヒーローか、次世代の台頭か、様々な楽しみな要素が入ったパリオリンピック、スケートボード男子ストリート種目。必見だ。
出場選手一覧
スケートボード ・男子ストリート種目:全22名
1. 小野寺 吟雲(日本)
2. 白井 空良(日本)
3. 堀米 雄斗(日本)
4. ジャガー・イートン(アメリカ合衆国)
5. ナイジャ・ヒューストン(アメリカ合衆国)
6. グスタホ・リベイロ(ポルトガル)
7. クリス・ジョスリン(アメリカ合衆国)
8. リヒャルド・トゥリー(スロバキア)
9. マティアス・デルオリオ(アルゼンチン)
10. オーレリアン・ジルー(フランス)
11. ケルビン・ホフラー(ブラジル)
12. ジオバンニ・ヴィアンナ(ブラジル)
13. コルダノ・ラッセル(カナダ)
14. マット・バージャー(カナダ)
15. ライアン・ディセンゾ(カナダ)
16. ジョセフ・ガルバッチオ(フランス)
17. フェリペ・グスタボ(ブラジル)
18. ヴィンセント・ミルー(フランス)
19. ジャンカルロス・オルティス(コロンビア)
20. マウロ・イグレシアス(アルゼンチン)
21. シェーン・オニール(オーストラリア)
22. ブランドン・バルジャロ(南アフリカ)
大会スケジュール:日本時間
-7月27日(土)
19:00~ スケートボード男子ストリート 予選
24:00~ スケートボード男子ストリート 決勝
パリオリンピックでの日本人選手たちの活躍はテレビ放送やTVerで視聴しよう!
パリ2024オリンピックのスケートボード男子ストリート種目の戦いの模様は、NHKや各キー局での地上波およびBS放送に加えて、TVerでのオンライン配信が予定されている。随時放送情報は更新されているが現時点での国内放送スケジュールは以下の通り*だ。
*「2024年7月23日時点、FINEPLAY編集部調べ」
7月27日 21:00~ スケートボード男子ストリート 予選【TBS系列】
7月27日 22:15~ スケートボード男子ストリート 予選(ディレー放送)【NHK総合】
7月27日 23:55~ スケートボード男子ストリート 決勝【NHK総合】
なお各競技の最新情報はオリンピックのウェブサイトや公式アプリで気軽にアクセスできるので是非ダウンロードしてみて欲しい。日本人選手たちの大活躍をテレビの前で一緒に応援しよう!
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