ベテラン・小牧太騎手が地方騎手免許試験に合格し、古巣である兵庫競馬へ移籍することとなった。中央のジョッキーとして中央で騎乗するのは7月21日の小倉が最後で、12Rでは白星を手にした。そんな小牧騎手のこれまでのJRA重賞34勝の中から、印…

 ベテラン・小牧太騎手が地方騎手免許試験に合格し、古巣である兵庫競馬へ移籍することとなった。中央のジョッキーとして中央で騎乗するのは7月21日の小倉が最後で、12Rでは白星を手にした。そんな小牧騎手のこれまでのJRA重賞34勝の中から、印象的なレースを振り返る。

 最初に取り上げるのは08年の桜花賞だ。04年に中央に移籍後、コンスタントに50勝以上を挙げて、何度も重賞制覇。それでいてビッグタイトルには手が届いていなかった小牧太騎手が、遂にGIジョッキーの仲間入りを果たしたレースだ。パートナーはレジネッタ。初騎乗だった前走のフィリーズレビューでは3着に敗れ、ここは12番人気だったが、鞍上は手応えがあったという。中団後ろで脚をためて、直線で外へ。鋭く伸びると、ゴール前でグイッと抜け出し、横一線の追い比べを制した。ゴールの瞬間、右手で大きくガッツポーズ。悲願のGI制覇に涙が止まらなかった。

 そこから遡ること7年。JRAの重賞初制覇は、まだ地方所属だった01年のフィリーズレビューだった。「中央の恩師」ともいえる橋口弘次郎調教師が管理するローズバドで大外一気の差し切り。ローズバドはお馴染みのバラ一族の出身。この年の8月にはローズバドの叔父となるロサードで小倉記念を制し、重賞2勝目をゲット。さらに09年にはローズバドの産駒となるローズキングダムで朝日杯FSを制することとなる。小牧太騎手の騎手人生を振り返る上で、「橋口弘次郎調教師」と「バラ一族」が欠かせないワードであることは間違いない。

 最後にカノヤザクラで挑んだ3回のアイビスサマーダッシュに触れる。最初のチャレンジとなった08年は大外18番枠から快勝。続く09年も絶好といえる17番枠を引き当て、あっさりと連覇を果たした。しかし、3連覇を目指した10年はゴール前で故障し、左第1指関節脱臼と診断され、この世を去る結果となった。小牧太騎手にとってアイビスサマーダッシュは悲喜こもごものレースといえる。

 さぁ、56歳での兵庫返り咲きから、どんなドラマを見せてくれるか。大ベテランの新たな挑戦を見守りたい。