2023年秋に世界ジュニア選手権女子57キロ級で銀メダルを獲得した逸材は、まだインターハイで優勝したことがない。だからこ…

2023年秋に世界ジュニア選手権女子57キロ級で銀メダルを獲得した逸材は、まだインターハイで優勝したことがない。だからこそ、「今年こそ絶対勝ちたい」と力を込める。

六つ年上の兄の練習に付き添い、物心つく前から道場に足を運んでいた。柔道経験のない両親からはほかのスポーツも勧められたが、「お兄ちゃんがやっているのを見て、楽しそうだった」。5歳の頃、引き寄せられるように畳に立った。

素質はすぐに開花し、小学生の頃は自分より体の大きい男の子を投げたこともあった。中学から柔道女子の強豪・敬愛へ。3年時には全国中学大会を制した。

ただ、高校は挫折からのスタートだった。1年時のインターハイは

県予選決勝で敗退。全国の舞台で活躍するチームメートの姿を見て悔しさを募らせた。その時期こそ「自分の原点」となった。昨夏は全国3位だった。なかなか頂点に届かないからこそ「今も練習を頑張れる」と自らを奮い立たせてきた。

たゆまぬ鍛錬は、確実に実を結んでいる。今年3月の全国高校選手権では2連覇を達成。得意の内股は、足技、組み手のパターンが増えたことで威力を増した。「インターハイまでにさらに精度を上げていきたい」。慢心することなく夏の王座を狙う。