TOYOTA GAZOO Racing WRTは、7月18日〜21日にかけてラトビアのリエパヤを拠点に開催される2024年WRC第8戦ラリーラトビア(グラベル)に、レギュラーのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン、勝田貴元/アーロン・…

TOYOTA GAZOO Racing WRTは、7月18日〜21日にかけてラトビアのリエパヤを拠点に開催される2024年WRC第8戦ラリーラトビア(グラベル)に、レギュラーのエルフィン・エバンス/スコット・マーティン、勝田貴元/アーロン・ジョンストンに加え、カッレ・ロバンペラ/ ヨンネ・ハルットゥネン、セバスチャン・オジエ/バンサン・ランデを加えた、トヨタGRヤリス・ラリー1ハイブリッド4台でエントリーする。前戦のポーランドでは、レッキ中に交通事故に遭い欠場を余儀なくされていたオジエとランデだったが「すぐに回復することができた」と語っている。マニュファクチャラーズ選手権のポイント対象には、エバンス、ロバンペラ、オジエをノミネートする。

(以下チームリリース)


WRC 第8戦 ラリー・ラトビア プレビュー
WRC初開催の高速グラベルラリーに
強力なフルメンバーによる4台体制で臨む

TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team(TGR-WRT)は、7月18日(木)から21日(日)にかけて、ラトビアで開催される2024年FIA世界ラリー選手権(WRC)第8戦「ラリー・ラトビア」に、カッレ・ロバンペラ(GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)、エルフィン・エバンス/スコット・マーティン組(33号車)、セバスチャン・オジエ/ヴァンサン・ランデ組(17号車)、勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(18号車)の、4台のGR YARIS Rally1 HYBRIDで参戦。WRC初開催の高速グラベルラリーで、前戦ラリー・ポーランドに続く今シーズン5回目の優勝を目指します。

2024年のWRCにおいて、ラリー・ラトビアはシーズン唯一のWRC初開催イベントとなります。北部をエストニアと、南部をリトアニアと接するラトビアは、以前からラリーの人気が非常に高く、これまで多くのラリーが開催されてきました。そのうち、バルト海に面する西部の港湾都市リエパーヤを舞台とする「ラリー・リエパーヤ」は、FIAヨーロッパ・ラリー選手権(ERC)の一戦として歴史を重ねてきましたが、今年ついにWRC初開催を実現。ラリー・ラトビアとして、隣国のラリー・エストニアと入れ替わる形でWRCのカレンダー入りを果たしました。

ラリー・ラトビアの路面はグラベル(未舗装路)で、全体的にかなりハイスピードなステージや区間が多くあります。そのため、今シーズンのWRCにおいては前戦ラリー・ポーランドから、8月第一週のラリー・フィンランドまで3戦連続で続く「夏季ハイスピード・グラベル連戦」を構成する一戦に位置づけられます。高速コーナーが連続するステージのグラベル路面は比較的硬質ですが、フィンランドに比べると軟らかい砂地のセクションもあり、そのような場所では深い轍が刻まれドライバーたちを悩ませます。また、WRC初開催ということもあり、ラトビアでのラリー出場は今回が初めてのドライバーも多く、TGR-WRTではエバンスとオジエが初めてラトビアのステージに挑みます。一方、彼らのコ・ドライバーたちはラリー・リエパーヤの出場経験があり、エバンスのコ・ドライバーであるマーティンは、2015年に故クレイグ・ブリーンと共に出場し勝利を手にしました。ただし、その当時は雪道が舞台となるスノーラリーとしての開催でした。

前戦ラリー・ポーランドに急遽出場することになったにも関わらず、優勝を獲得したロバンペラにとって、ラトビアはキャリアの初期を過ごした思い出の地です。2013年から2017年にかけて、当時十代だったロバンペラはラトビアで多くの国内イベントに出場し、2016年と2017年には国内選手権でチャンピオンに輝きました。なお、ロバンペラにとって今回のラトビアは、2020年にTGR-WRTの一員としてWRCトップカテゴリーに挑み始めてから50戦目の、記念すべき一戦となります。今回のラリー・ラトビアではロバンペラ、エバンス、オジエがマニュファクチャラーズポイント獲得資格のあるドライバーとして登録され、10ポイント差で首位のライバルチームを追うマニュファクチャラー選手権でも、多くのポイント獲得が期待されています。一方、今回はマニュファクチャラー登録選手ではない立場で出場する勝田は、2015年のラリー・リエパーヤにTGR WRCチャレンジプログラムの一員として出場した経験があります。

WRCのサポート選手権であるWRC2には、5台のGR Yaris Rally2が出場し、そのうちポルトガルとイタリア(サルディニア)で今季ここまで2勝しているサミ・パヤリ(プリントスポーツ)にとって今回は、WRC2ランキングでトップに立つ大きなチャンスです。なお、パヤリはホームイベントであるWRC第9戦ラリー・フィンランドで、初めてトップカテゴリー車両のGR YARIS Rally1 HYBRIDをドライブする予定です。パヤリ以外にもフィンランドのミッコ・ヘイッキラ(TGS)、エストニアのグレゴワール・ジーツ(レッドグレイ)が引き続きGR Yaris Rally2のステアリングを握ります。さらに今回は、サウジアラビアのラカン・アル-ラシェド(プリントスポーツ)と、アメリカ国内王者に2度輝いたカナダ人のブランドン・セメヌク(スポーツ・レーシング・テクノロジーズ)のふたりが、新たにGR Yaris Rally2をドライブします。

ラリーは18日(木)の早朝リエパーヤ近郊でシェイクダウンが行われ、その後選手たちはリエパーヤから約200km離れた首都「リガ」へと移動。市中心部でのセレモニアルスタートに続き、夜8時過ぎからスーパーSSがリガ近郊のサーキット施設で行われ、4日間に渡る戦いがスタートします。一日を通しての本格的な戦いは19日(金)のデイ2から始まり、リガの北西方面で7本のステージを走行。その合計距離は120.92kmと4日間で最長の一日となるだけでなく、日中にミッドデイサービスが設定されず、簡易的な整備作業のみ可能な「タイヤフィッティングゾーン」しか設定されないため、耐久的な要素も強い一日となります。20日(土)のデイ3は、リエパーヤから比較的近い東側のエリアが主舞台となり、ミッドデイサービスも設定されます。8本のうち6本は、一度しか走行しないステージであることがデイ3の大きな特徴です。最終日となる21日(日)のデイ4は、リエパーヤの東側エリアで、サービスやタイヤフィッティングゾーンを挟むことなく2本のステージを各2回走行。そのうち、SS18の再走ステージとなる最終のSS20は、トップ5タイムを記録した選手とマニュファクチャラーに、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されています。20本のステージの合計距離は300.00km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1348.83kmが予定されています。

ヤリ-マティ・ラトバラ (チーム代表)
ラトビアでWRCが開催されるのは初めてですが、高速かつ流れるようなコーナーが続き、路面には砂が多いなどラリー・ポーランドと似たような特長を持つことが予想されます。しかし、おそらく道幅はさらに広く、よりハイスピードなラリーになると思います。最大のチャレンジは、多くのステージを一度しか走らないということで、最近ではかなり珍しいことです。つまり、選手たちは多くの新しいペースノートを作成するという、大変な仕事をこなさなくてはなりませんし、新しいイベントで新しい道を走るのは、いつだって大きな挑戦です。ポーランドでのカッレの勝利は素晴らしかったですし、エルフィンのドライビングも安定していたなど、我々はポーランドでいいパフォーマンスを発揮できていたので、そのいい流れが続くことを期待しています。また、貴元がフィーリングの改善をラトビアで感じてくれたら嬉しいですし、セブが再び我々と一緒に戦ってくれたら、それは素晴らしいことです。今年は選手権争いがかなり接戦なので、相手に差をつけることは大変です。そのため、この新たなチャレンジに強力なフルメンバーで臨み、戦い続けることが何よりも重要なのです。

カッレ・ロバンペラ (GR YARIS Rally1 HYBRID 69号車)
ラトビアに戻るのがとても楽しみです。ラトビアにはキャリア初期の頃から良い思い出がたくさんあり、来週は多くの友人や知り合いに会えることを期待しています。ラリーのキャラクターという点では、ポーランドとエストニアの要素が少し混ざったような、ハイスピードなラリーになるでしょう。きっと非常に迫力のある走りが見られるでしょうし、ステージ上では接戦が繰り広げられるはずです。自分が最後にラトビアを走ったのは7年前で、その時の経験はあまり役に立たないと思いますので、新しいラリーに臨む時のように準備を進めるつもりです。ポーランドは、不思議な状況で出場したにも関わらずうまく行ったので、その良い流れを保ち、より入念な準備をして臨み、良い仕事ができることを期待しています。

エルフィン・エバンス (GR YARIS Rally1 HYBRID 33号車)
ラトビアがどのようなラリーになるのか、今からとても楽しみです。高速なグラベルイベントであるという点では、ラリー・ポーランドとかなり似たキャラクターのラリーになるかもしれませんが、きっとラトビアならではの難しさもあると思うので、現地に行って自分たちでステージを走り、それを見つけなくてはなりません。ポーランドではクルマにかなり良いフィーリングを感じることができたので、それを継続できればと思いますし、ポーランドで得た学びをさらに深めることができると信じています。チャンピオンシップで良い流れを保ち続け、イベントを楽しみ、フィニッシュした時に多くのポイントを獲得できていることを願っています。

セバスチャン・オジエ (GR YARIS Rally1 HYBRID 17号車)
ラリー・ポーランドでの準備中に起きたことは非常に残念でしたが、少し休養し、メディカルチームの適切なサポートのおかげで、すぐに回復することができました。そして、ラトビアでラリーカーのステアリングを握ることを楽しみにしています。私は新しいラリーにチャレンジすることが好きですし、それがこのイベントを出場プログラムに加えた理由のひとつでもあります。ポーランドを欠場した今、私たちにとっての最優先課題は、超高速な道でいち早くいいフィーリングを掴むことですが、新しい挑戦はいつだって心躍ることなので、頑張りたいと思います。

勝田 貴元 (GR YARIS Rally1 HYBRID 18号車)
ラトビアに戻れることを嬉しく思います。前回ラトビアで走った時の最大の思い出は、おそらく自分のキャリアの中で最大のクラッシュです。ヨーロッパでラリーを始めた時の最も初期の出来事なので、かなり昔のことですし、今とは状況も全く違いました。自分を含め、ほとんどのドライバーにとって、今回は完全に新しいラリーになると思うので、今回は週末に向けて高い目標を設定するつもりです。ポーランド同様、ラトビアも高速ラリーになるはずなので、ポーランドで得たポジティブな要素をラトビアでも活かしたいと思っています。事前にできる限りの準備をして、チームとともに改善点を探り、ラトビアではより良い結果が得られることを期待しています。