ドヘニー戦への記者会見を開いた井上。(C)Lemino/SECOND CARRER 注目の対戦が決まった。7月16日、都内でプロボクシングの記者発表会見が開かれ、世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥が、来る9月3日に有明ア…

ドヘニー戦への記者会見を開いた井上。(C)Lemino/SECOND CARRER

 注目の対戦が決まった。7月16日、都内でプロボクシングの記者発表会見が開かれ、世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥が、来る9月3日に有明アリーナ(東京)で、元IBF同級王者テレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)との防衛戦を実施すると発表した。

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 5月6日に実施された東京ドーム興行で、元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)を6回TKOで撃破。初防衛を成功させた井上の次なる相手となったのは、37歳のベテランだった。

 経験に裏打ちされた卓越した技巧と試合の流れを変える一発に魅力を秘めるアイリッシュファイターのドヘニーだが、一部の海外メディアからは「物足りない相手」と問われてもいる。彼らはWBA同級1位のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との実力と比較し、散々に書き記してもいる。

 しかし、「その辺の声に関してはこの試合を終えて引退するわけでもなく、階級を変えるわけでもないので、楽しみに待っていてくれ、と」と会見内で持論を展開した井上は、その後の囲み取材で「難しいですよね。スーパーバンタム級でやるのであれば、いつかこういう試合が出てくる。だいたい2年ぐらい(同級)で、となると多くて6試合。この6試合を前回のように(マッチメークを)やるのは、ほぼ不可能」とマッチメークの“難しさ”を語った。

「じゃあドヘニーに勝って、アフマダリエフなのか、(IBF、WBO同級1位サム・)グッドマンなのか。まだ全然、話は出ていないですが、そうなっていくじゃないですか。仮にアフマダリエフを撃破しました。では次に誰とやりましょうかと。そこもまた難しい。ただ自分の身体が出来上がっていない時点で階級を上げるという選択肢は今の自分にはない。

 だから、その約2年の中で、今回はドヘニーだった。モチベーションうんぬんっていうのはない。周りの期待だったり、スーパーバンタムでやる楽しさが加わっているので。そこの心配はない。自分の中では、あのネリ戦と同じぐらいに仕上げないといけないという気持ちで挑まなきゃいけない」

ドヘニー戦へ揺るぎない自信

 かねてから「自分がどういうパフォーマンスをするか」にこだわってきた。井上は相手がどうであろうとファンの刺激となる戦いをするための選択を貫いてきた。ゆえに今回も「リングに上がれば必ず面白くなるんじゃないですかね」と自信は揺るぎない。

「自分のボクシングをやれば。12ラウンドで足を使って戦うなんて考えていないし、自分がやってきたボクシングと性格を考えれば、おのずと楽しい試合になる。それは相手にもよりますけど。でもドヘニーは出てくるし、1発もあるし、おもしろいと思いますよ。身体も自分よりもでかいし、前半の緊張感はあると思う」

 覚悟を持って、周囲の雑音を瞬間的に沈める圧巻のパフォーマンスを見せつける――。絶対王者の風格をビシビシと漂わせた井上の眼光は、ひたすらに高みを見据えていた。

[取材・文:羽澄凜太郎]

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