国際ステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」は5月25日、 7日目を迎え「市制施行70周年記念 相模原ステージ」を開催した。舞台となる相模原市は、今年市制施行70周年を迎え、様々な記念企画が実施されている。このレースも、その盛り上がりの中で…

国際ステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」は5月25日、 7日目を迎え「市制施行70周年記念 相模原ステージ」を開催した。

舞台となる相模原市は、今年市制施行70周年を迎え、様々な記念企画が実施されている。このレースも、その盛り上がりの中で開催されることとなり、会場内には、相模原市からの数多くの出店ブースが並び、天候も味方し、会場は多くの来訪者で大いににぎわった。
レースはJR橋本駅近くの橋本公園をスタートし、4.8kmのパレード区間を経て旧小倉橋を通過した後にリアルスタートを迎える。スタートとなる鳥居原ふれあいの館から細かなアップダウンを越え、串川橋を越えたところから上り始め、フィニッシュに向けて上り基調
となる。最後に待ち構える急坂がポイントとなるだろう。この周回コースを7周する走行距離107.5kmの設定で競われる。総合成績や各賞が動く可能性のある最後のステージ。白熱したレースが予想された。





アップダウンが続く13.8kmの周回コース。最後には急勾配の登坂が待っている

次点に2分以上の差をつけ、個人総合で首位を独走するジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)、前日のステージでポイント賞を逆転奪取した寺田吉騎(シマノレーシング)、山岳賞ジャージを守っている中井唯晶(シマノレーシング)、富士山ステージの健闘でU23首位にジャンプアップしたニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)がそれぞれのリーダージャージ姿でスタートライン最前列に並んだ。



最前列に並ぶレッドジャージの中井唯晶(シマノレーシング)、グリーンジャージのジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京)、ブルージャージの寺田吉騎(シマノレーシング)、ホワイトジャージのニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)©️TOJ2024



隊列を組んでパレード走行にスタートする©️TOJ2024

土曜日とあり、集まった観客の大きな拍手を受けながら選手たちがパレード走行に繰り出して行った。



パレード区間が終わり、リアルスタートが切られる©️TOJ2024

周回コースに入り、リアルスタートが切られると、1周目から意欲的な選手たちが次々と飛び出すアグレッシブな展開に。だが、決定的な動きは生まれない。最初のスプリントポイントは総合8位につけている小林海(マトリックスパワータグ)が先頭通過しボーナスタイムを獲得。ポイント賞を守りたい寺田は2位で通過し、ポイントを加算した。



スプリントポイントで先行する小林海(マトリックスパワータグ)©️TOJ2024

最終日には山岳賞の設定がないため、中井はこの日首位を守ればリーダーが確定する。1周目完了時の山岳賞は、中井のチームメイト入部正太朗(シマノレーシング)が先頭通過し、中井に迫る選手のポイントが加算がされないようにブロックする。

逃げが決まらないまま、レースは2回目のスプリントポイントを迎えた。ここでも、寺田が先頭通過し、ポイントを加算した。



この日の来場者数は23,000人。周回コース内の応援スポットには多数の観客が並び声援を送った©️TOJ2024

2回目の山岳ポイントも、再び入部が先頭通過。入部の飛び出しに同調し、風間翔眞(シマノレーシング)、織田聖(マトリックスパワータグ)、アドネ・ファン・エングレン(ルージャイ インシュラランス)、孫崎大樹(キナンレーシングチーム)、草場啓吾(愛三工業レーシングチーム)らが6名の逃げグループを形成した。メイン集団はJCLチーム右京が一定の差を付けコントロール。



山岳賞への抜け出しから6名の先頭集団が形成された©️TOJ2024

最後のスプリントポイントは孫崎、山岳ポイントはエングレンが、それぞれ先頭で通過を果たす。大会が設定した山岳賞ポイントが全て終了し、中井は最終ステージまで完走すれば、山岳賞リーダーになることが確定した。
最大で1分のタイム差をつけ、安定したペースで周回を回っていた6名だが、日本ナショナルチームがペースアップを図っていたメイン集団が差を詰めてきた。



日本ナショナルチームがメイン集団のペースアップを図る©️TOJ2024

最終周回を前に逃げ集団は飲みこまれたが、最後の登坂でマックス・ウォーカー(アスタナカザクスタン ディベロップメントチーム)がアタック。ここに兒島直樹(日本ナショナルチーム)が続き、先ほどまで逃げ集団にいたエングレンもここに食らいつき、なおも先頭を走る意思を見せる。



マックス・ウォーカー(アスタナ カザクスタン ディベロップメントチーム)の抜け出しに兒島直樹(日本ナショナルチーム)、アドネ・ファン・エングレン(ルージャイインシュラランス)が同調©️TOJ2024

最後は3名によるスプリント勝負となり、ウォーカーが優勝。堺ステージに続く大会2勝目を飾った。2位にファン・エングレン、3位に兒島が入った。



ウォーカーがスプリントに競り勝ち、2勝目をあげた。後ろには集団が迫る©️TOJ2024

メイン集団は5秒差でフィニッシュ。カルボーニはこの中でフィニッシュし、タイム差を広げることなく、リーダージャージを守っている。アスタナ カザクスタン ディベロップメントチームはトップ10に4名を送り込んでの勝利だった。



優勝し、表彰式に立ったウォーカー©️TOJ2024

堺ステージに続き、表彰台に立ったマックス・ウォーカーは、「レースの最初に堺で勝ってからも毎日トライを続けてきましたが、今日こうして再び勝ててハッピーです」と喜びを語った。
「TOJ は距離が短く、高強度な展開になるため、ヨーロッパのレースと異なり、逃げがどこで決まるのかの予想が難しい」と語った。ウォーカーは22歳の若い選手であり「将来はツール・ド・フランスや石畳のレースも走れるようになりたい」と今後の展望も語っていた。



ステージ優勝のウォーカーと4賞リーダー。中井はこの日のレースで山岳賞を決めた©️TOJ2024

山岳賞リーダーを決めた中井は、自分のために動いてくれた入部への感謝を述べ、翌日は「寺田のポイント賞ジャージのために気合を入れ直して走る」と語り「日本人二人でジャージを獲得できたら」と抱負を力強く口にしていた。寺田の次点はカルボーニで、獲得ポ
イントは3点差。最終日に逆転は十分に可能であり、気が抜けないレースになることが予想された。

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【結果】
ツアー・オブ・ジャパン2024
第7ステージ市制施行70周年記念 相模原(107.5km)

1位/マックス・ウォーカー(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)2時間24分45秒
2位/アドネ・ファン・エングレン(ルージャイ・インシュアランス)+0秒
3位/兒島直樹(日本ナショナルチーム)+2秒
4位/ダヴィデ・トネアッティ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)+5秒
5位 岡本隼(愛三工業レーシングチーム)

【個人総合時間賞(グリーンジャージ)】第7ステージ終了時
1位/ジョバンニ・カルボーニ(JCLチーム右京、イタリア)16時間41分34秒
2位/クドゥス・メルハウィ・ゲブレメディン(トレンガヌ・サイクリングチーム)+2分7秒
3位/ベンジャミン・ダイボール(ヴィクトワール広島)+2分12秒

【個人総合ポイント賞(ブルージャージ)】第7ステージ終了時
1位/寺田吉騎(シマノレーシング)65p

【個人総合山岳賞(レッドジャージ)】第7ステージ終了時
1位/中井唯晶(シマノレーシング)32p

【個人総合新人賞(ホワイトジャージ)】第7ステージ終了時
1位/ニコラス・ヴィノクロフ(アスタナ・カザクスタン・ディベロップメントチーム)

【チーム総合成績】第7ステージ終了時
1位/チーム・ブリッジレーン 50時間18分20秒

画像提供:ツアー・オブ・ジャパン2024

トップ掲載写真:市制施行70周年記念 相模原ステージが開催された ©️TOJ2024

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ツアー・オブ・ジャパン2024レポート
第1ステージ「堺ステージ」
第2ステージ「京都ステージ」
第3ステージ「いなべステージ」
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第5ステージ「信州飯田ステージ」
第6ステージ「富士山ステージ」