「僕らうんぬんより、フィジカルだったりが完全に向こうの方が上回っていたし、こんな試合内容ではオリンピックではまず勝てない。あり…

「僕らうんぬんより、フィジカルだったりが完全に向こうの方が上回っていたし、こんな試合内容ではオリンピックではまず勝てない。あり得ない試合をしてしまったなと…」

 試合後、ミックスゾーンでメディアに囲まれた比江島慎(宇都宮ブレックス)の口からは反省の言葉が多く聞かれた。

 7月6日、有明アリーナで行われた「SoftBank CUP 2024(東京大会)」。男子日本代表は男子韓国代表と対戦した。

 試合の出だしは比江島の3ポイントシュートなどで先行した日本だったが、第2クォーターに入ると韓国の高確率の外角シュートに手をこまねき、リードを広げられてしまう。35ー46で迎えた第3クォーターも変わらず。さらに点差が広がっていった。

 それでも、第4クォーターではディフェンスから好機を作り、攻めては河村勇輝(横浜ビー。コルセアーズ)の得点などで猛追。終盤に韓国を捉えたのだったが、最後は残り約1秒の場面で韓国にフリースローを決められ、84ー85で破れた。

「ディフェンスの強度が落ちたこと。いいディフェンスから(相手を)崩してつなげてというのが、ディフェンスで流れをつかむチームなのにできなかったと思います」と、比江島は韓国にリードを許した要因を語った。

 一方、攻めては11点と2ケタ得点を挙げた比江島。先にも触れたように出だしで2本の3ポイントシュートを決めたが、自身の調子については、「シューティングから本当によく良くて、ほかのシュートに関しても入ったかなという感覚があったんですけど、後半に決め切れなかったので、そこは反省しています」と、振り返る。

 また、持ち味の一つでもあるドライブと3ポイントシュートとの併用に関しては、「(ヘッドコーチの)トム(ホーバス)さんからは(3ポイントシュートを)打つようにと言われているのですが、僕の中ではドライブにもプライドを持っているので入れていきたいなという思いがあります。そうすることでより3ポイントシュートも打ちやすくなると思うので、そこは織り交ぜながらと意識しています」とも語った。

 今回のソフトバンクカップ(東京大会)には帯同はしているものの、八村塁(ロサンゼルス・レイカーズ)と渡邊雄太はコンディション面から欠場。「パリ2024オリンピック」に向けては、練習やオリンピック直前のヨーロッパ遠征で組まれている練習試合などから連携を高めていく予定だ。この2人が加入することで戦力は大きくアップするが、比江島は、自身のやることは変わらないと言い切る。

「彼らがいてもいなくても、変わらず3ポイントシュートというところを意識したいです。彼らにマークが集中することは間違いないと思うので、その中で自分たち、ほかの選手がシュートを決めていくことが彼らの助けにもなると思います。もちろん、彼らが中心になると思うのですが、自分も変わらずアグレッシブにやっていこうと思います」

 東京大会の第1戦は、1万3420人の観客の前で勝利を届けることができなかった。同じく韓国代表との対戦となる第2戦(7月7日)は、パリオリンピック前、国内最後の国際強化試合となる。その試合に向けての意気込みを聞くと、このような言葉が返ってきた。

「僕自身、もしかしたら最後になるかもしれないので、もちろん勝つことも大事で、皆さんが納得する内容にしたいです。自分自身も最後というところでいろいろ噛み締めながらやっていきたいと思います」

 今はまだ12名のメンバー入りに向けたサバイバルの最中だが、パリ行きのメンバーに入れば自身2度目のオリンピックとなる。思うように勝てずに苦しい時代も日の丸を背負って戦い続けてきたポイントゲッターは、これまでの思いや感謝の気持ちを持って有明アリーナのコートに立つ。

文=田島早苗

【動画】いつものセレブレーションに雄太も塁もにっこり