井上に対戦を求め続けるアフマダリエフとその陣営。だが、そうした行為は反発を招いている。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王…

井上に対戦を求め続けるアフマダリエフとその陣営。だが、そうした行為は反発を招いている。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者である井上尚弥(大橋)に対する“口撃”がハレーションを広げている。

 物議を醸しているのは、現地時間7月4日に米YouTubeチャンネル『International Boxing News』の取材に応じた英興行大手『Matchroom Boxing』のエディ・ハーンCEOの井上に対する発言だ。

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 ハーン氏が井上を攻めたのにもキッカケがある。去る6月13日にボクシングの団体「WBA」が井上と同団体1位のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)に対して「9月25日までに試合を行うように命じた」と正式発表したのだが、この急転直下の指令に王者陣営が困惑。かねてから対戦交渉を進めてきた元IBF世界同級王者のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)戦を優先する意向を見せた。

 アフマダリエフの共同プロモーターでもあるハーン氏は、王者の動静に黙っていなかった。かねてから井上を巻き込んだメガマッチ開催を画策していた同氏は『International Boxing News』で「なぜイノウエがドヘニーと戦うという自由が許されるのかが分からないよ。その試合がミスマッチだということは誰もが分かっているじゃないか!」と苦言。両者のレベルの差を言及し、「なぜそれが良しとされるんだ?」と批判めいた持論を展開した。

 ただ、挑発的と言える一連の発言はSNSで波紋を呼んだ。Xで拡散されると、ハーン氏とアフマダリエフ陣営に対する反発の声が殺到。その大半が井上陣営の動きを尊重する意見で、「じゃあMJ(アフマダリエフの愛称)タパレスの再戦は可能か。イノウエは君の顧客が負けた相手にあっさりと勝ったぞ」「タパレスに負けた時点で失ったんだ」「イノウエは彼とやる必要はない」「やらない理由は簡単だ。イノウエはMJを倒した男(タパレス)を圧倒したからだ」というものが目立った。

 やはりファンはアフマダリエフの“失態”を忘れてはいない。強気に振舞うウズベキスタン人戦士は昨年4月に判定決着ながらマーロン・タパレス(フィリピン)との2団体統一王座戦に敗戦。同年12月にケビン・ゴンザレス(メキシコ)とのWBA世界スーパーバンタム級挑戦者決定戦で再起を果たしたものの、“モンスター”から後退した感は否めなかった。

 井上本人は今回のWBAの指令に対して「もうベルトにこだわりはないですからね。それで剝奪されるならそれでもいい」と断言。あくまで自身のパフォーマンスを最大限に出せる試合に価値を見出そうとしている。

 食い違う両陣営の言動を見ても、アフマダリエフ戦が実現する可能性は小さいように思えるが、果たして――。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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