6月10日、東京・六本木に「足」を専門に診る病院「足と歩行のクリニック:リジェ 六本木院」が開設した。あまり耳馴染みのない足専門病院だが、診療内容は足の疾患に対する治療だけではない。
歩き方や姿勢を映像で解析し、疾患の予防やアスリートのパフォーマンス向上まで幅広く支援しているのが特徴だ。「100歳まで痛みなく健康に歩けるようにサポートしたい」をコンセプトにする動作解析のプロフェッショナルだ。
同院によると、歩けず寝たきりになる人の約4割は足腰の衰えなど筋骨格系の疾患が原因。加齢や運動不足によって、筋力が低下し体が硬くなる。すると、次第に歩行姿勢が崩れ、足や関節に痛みが出て、歩行能力が損なわれていくという。
同院の戸原遼院長は「だからこそ、足腰が痛くなる前に足の検査をすることが重要」と訴える。
海外では足の検査・治療が浸透している国もある。同院の倉橋絢也理事によると、アメリカは歯医者と同じように「足科医」と呼ばれる足の専門医がいて、全米に足の病院が1万ヶ所もある。
「一つの街に必ず歯科医院があるのと同じように足の病院がある。でも、日本にはこれまでなかった」と話し、国内でも足の検査、治療の重要性を広めたいとしている。
今回は30代の記者が実際に検査と施術を受け、インタビューを実施した。
将来歩けなくなる実感はなかったが、検査の結果、姿勢や歩き方に問題があることが判明した。
実際に検査を受けた記者は32歳痩せ型の男性。特に足の痛みはなかったが、趣味の登山をしている際、下山中に膝の裏が痛くなることがあった。
それでも「まあ、問題はないだろう」。そんな認識で検査に臨んだ。
検査はレントゲン撮影から始まった。レントゲン台に立ち、足の正面や側面などから計12枚撮影。足の形から「関節変形の有無」や「関節症」など足と歩行のトラブルになり得る原因がわかるなどが分かるという。
歩行解析では、裸足やセンサーを埋め込んだ靴を履いて、指定された数メートルの場所を往復する。
その姿を3台のカメラで撮影。映像やセンサーからのデータを解析することで、着地したときの関節の角度や加速度、足の裏への負担などが分かるという。
最後に姿勢をチェック。立った状態で腕を上げたり、体を反ったりした姿をスタッフが撮影。
タブレット端末でAI解析すると、体の歪みなどが判明する仕組みだ。
同院では、提携しているアメリカの足専門病院に撮影した動画など患者の情報を送り、アメリカの専門医に見てもらう取り組みもしている。
倉橋理事は「日本にいながら足治療の本場であるアメリカの医師にも見てもらえるのが特徴」とし、より正確に患者の歩き方の問題点を明らかにした施術を重要視している。
記者の検査結果は、「現在は、特に疾患はない」という。一方、「猫背の反り腰で、最も筋力を使わないで立っている。
将来的に背骨の曲がりを筋肉で維持できなくなると、側弯症や腰痛につながる」との指摘も受けた。
また、歩く時に太ももなど大きな筋肉を使わず、ふくらはぎの筋肉を使い過ぎる傾向があり、戸原院長は「そうなると、ふくらはぎの張りがどんどん強くなる。
なので、登山中にふくらはぎの筋肉が付着する膝裏に痛みが出ている可能性がある」と推測。
太ももやお尻の筋肉を鍛えて、歩くときに大きな筋肉を使うよう意識することを助言してもらった。
最後に筋肉が張っているふくらはぎに衝撃波を与える施術を受けた。張りが強い箇所に衝撃波が当たると、鈍い痛みが走り、思わず声が漏れた。
ただ、施術後は張りが和いだことを実感し、検査と施術が終了した。
今回は運動不足の記者が受けたが、パフォーマンスを向上させたいアスリートも歓迎という。同院が特に薦めるのはインソールの作成だ。
靴の中に入れて足を支えることで、下半身が安定したプレーができる。戸原院長は「アメリカでは大リーグやNBAの選手も作っている。
ゴルフをやる社会人もインソールを使うと、飛距離などで効果を実感しやすい」とする。
同院には、子どもから高齢者まで幅広い患者が来院する。戸原院長は「できれば足が痛くなる前に来てほしい。
歯で言えば、虫歯になってから歯医者に行くのは遅いですよね。予防するために病院でクリーニングしたり、歯を磨いたりする。足も同じです」と説明。
「早い段階から治療を始めて、ずっと歩けるようになってほしい」と願っている。
▼足と歩行のクリニック:リジェ 六本木院の概要
【住所】
東京都港区六本木7-15-17
ユニ六本木ビル3階
【アクセス】
東京メトロ日比谷線六本木駅 2番出口より徒歩1分
都営大江戸線六本木駅 4a・4b番出口より徒歩2分
【診療時間】
火・水・木・金・土(月日祝休み)
【ホームページ】
https://www.roppongi-footwalk.clinic/
▼戸原遼院長のプロフィール
整形外科専門医
足の外科・足病科
岐阜大学卒業
東京医科歯科大学 整形外科入局
日本整形外科学会
(日本整形外科学会専門医取得)