ジュビロ磐田戦の先制点が、プロ8年目で嬉しいJリーグ初得点になった25歳の石原広教は「ミーティングなどで逆サイドにボー…

 ジュビロ磐田戦の先制点が、プロ8年目で嬉しいJリーグ初得点になった25歳の石原広教は「ミーティングなどで逆サイドにボールがあるときのポジショニングを言われていた」という言葉通り、相手陣内のパスワークから左サイドに流れた伊藤敦樹のクロスに、右外から見事な形でヘッドを合わせた。

 浦和レッズ酒井宏樹という偉大な選手がいることを承知の上で、そういう環境を求めて湘南ベルマーレから移籍してきた経緯がある。

 ここまで15試合連続でスタメン出場しているが、最初にチャンスを掴んだきっかけが酒井の負傷だった。それでも試合を重ねながらペア=マティアス・ヘグモ監督の信頼を高めて、酒井が復帰してからもポジションを明け渡すことはなかった。その石原は1対1の強さに加えて、湘南で鍛えたアップダウンで浦和を右サイドから活性化する役割を担っている。

「走ることはチームの約束事なので、僕も(大畑)歩夢も、前を追い越していくことは意識していました」と語る通り、ハードワークはこれまでも見せてきたものだが、酒井の退団で、責任感は間違いなく強まっている。

 石原は磐田戦に関して「やっぱり若い選手がすごく多かったので。みんなが支え合っていくところでは声出してやってました」と振り返る。そう言った浦和でのリーダーシップの必要性を自覚しながら、改めて日本代表という目標を口にした。これまで良き指標になっていた酒井はもういないが、ここからは心身両面で浦和を引っ張りながら、さらなる高みを目指していくことが期待される。

■「見本として見てるだけじゃダメ」

 そしてもう一人、浦和で昨年のアジア制覇を力強く支え、2023年のJ1ベスト11にも輝いたアレクサンダー・ショルツの後を任されたのが、センターバックの佐藤瑶大だ。

 1−0で勝利した名古屋戦に続く、磐田戦でのスタメンとなった佐藤は、マリウス・ホイブラーテンとのコンビで、相手の大型FWであるマテウス・ペイショットとの空中戦で奮闘、地上戦でも効果的なポストプレーを許さず、今季11得点のジャーメイン良のフィニッシュチャンスも制限した。

 攻撃ではショルツにもない展開力を発揮し、石原の先生ゴールでは持ち上がりから右外のオラ・ソルバッケンに繋ぐなど、磐田戦で、試合をドミネート(支配)するへグモ監督のサッカーを体現するにあたり、彼の貢献を抜きに語ることはできない。佐藤は「ショルツ選手は僕の持ってないところをすごく持っていて、もう少し一緒にやりたかった。ただ、こういう世界なので入れ替わりもありますし、僕も見本として見てるだけじゃダメ。ショルツを超えようと思ってきた」と主張する。

 もう少し一緒にやりたかったという本音ものぞかせたが、石原と同じく日本代表を目指す佐藤にとって、これはチャンスでもある。「浦和レッズのセンターバックとして出ている以上、僕が最終ラインをまとめなきゃいけない」と力強く語った佐藤も25歳で、磐田戦でキャプテンを任された伊藤とは同期だ。「敦樹がキャプテンとしての初陣というか。いつも以上に、チームのためにやってくれようというのは僕も感じましたし、それに呼応して僕もやらない」と自身の意気込みも示しつつ、全員がリーダーシップを出していくことが大事になってくることを認める。

■節目で手にした記念の勝利

 ある意味で、チームの節目となる試合で3−0の完勝を飾った浦和だが、残されたJ1でリーグ優勝を果たすには、現在9位の浦和と勝ち点11差で首位をゆくFC町田ゼルビアをはじめとした上位のライバルに、残り17試合で差を詰めていくために、勝ち点3を積み重ねていく必要がある。

 残りのリーグ戦、そして拡大版のクラブW杯という未知の大会が待つ来年に向けて、ここから順調な時期ばかりではないが、浦和の新たな歴史の1ページを飾る見事な勝利になったことは間違いない。

(取材・文/河治良幸)

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