井上とデービス。軽量級で異彩を放つ両雄の対戦に興味を示すファンは少なくないが…。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext ボクシング界で期待され続ける“ドリームマッチ”に対す…

井上とデービス。軽量級で異彩を放つ両雄の対戦に興味を示すファンは少なくないが…。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 ボクシング界で期待され続ける“ドリームマッチ”に対する関心は尽きない。世界スーパーバンタム級4団体統一王者の井上尚弥(大橋)と、WBA世界ライト級王者のガーボンタ・デービス(米国)のマッチメイクだ。

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 もっとも、両者の階級差は「3」。体重差にして5.8キロも異なるため、ダメージなどを考慮して階級制が設けられているボクシングにおいて実現は「非現実的だ」と言える。事実、当人も試合開催には否定的だ。今年5月に井上との対戦に対して意見を求められたデービスは、「俺が下げて、あっちが上げて、130ポンド(スーパーフェザー級)でなら……。いや、正直言って、やる可能性はない。流石に厳しいだろ」と語った。

 それでも夢の対戦を望むファンは依然として少なくない。だが、海外の識者からもシビアな意見が飛ぶ。

 ボクシング大国フィリピンの放送局『ABS-CBN』でアナリストを務めるエド・トレンティーノ氏は、「このスポーツにおいてパンチャー同士の対戦ほどエキサイティングなものはない」と興味を示しながらも、「デービスとイノウエが戦うのなら体重差が壁となる。13ポンドもある二人の差はそうそう埋まらない」と強く訴えた。

 さらに「デービスがスーパーバンタム級にまで下げることは絶対に不可能だ」と断じたトレンティーノ氏は、井上のフェザー転級の可能性に言及しつつ、「もちろんキャッチウェイトでやれば可能になるかもしれないが、やはり体重差は問題になる。これは容易ではない」と指摘した。

 ただ、「実現すればエキサイティングな内容にはなるだろう」と説くトレンティーノ氏は、こうも続けている。

「イノウエとデービスの一戦となれば大金が動くことは確実だ。プロモーターは選手同士が妥協できる体重で合意させれば、貯金箱を壊して、有り金を叩く用意もできているはずだ。二人ともキャリアの最盛期を迎えていて、『ドリームファイト』を実現させる絶好のタイミングではある。

 ただ、全てはイノウエが体重を増やす意思があるかどうかにかかっている。もしも、本当にイノウエが“怪物級”の金を望むのであれば、デービスを追いかけることは一考する価値があるかもしれない。ただ、現時点ではありえないと言えるだろう」

 井上とデービスのマッチアップが業界最注目となるのは間違いない。だが、その刺激的なカードの実現には多くの“リスク”を両陣営が取らなければならず、トレンティーノ氏の言うように実現は「ありえない」と言わざるを得ない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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