第73回ラジオNIKKEI賞(30日/GIII、福島芝1800m)には、青葉賞は不利を受け人馬とも不完全燃焼のサトノシュトラーセ、ウイン×松岡騎手の鉄板コンビ・ウインマクシマム、先週GIジョッキーとなった菅原明良騎手が手綱を取るショーマンフリートが出走予定。
本記事では、出走各馬の追い切りを診断し「S」「A」「B」の3段階で評価した有力馬や穴馬をピックアップ。ここでは「シリウスコルト」を取り上げる。
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■シリウスコルト
【中間調整】ちょうど1年前、2回福島開幕日だった2023年7月1日福島5R新馬戦(芝1200m)で10番人気を覆し快勝を収めた。デビュー3戦目の芙蓉Sで早めに進出して押し切る競馬から2着に2馬身差の勝利と早くから活躍してきた馬だ。年明け初戦の弥生賞では鞍上・三浦騎手の判断で逃げの手に出て、荒れた内目の馬場にやや勢いを削がれながらも粘りに粘って3着を確保。皐月賞切符をモノにしている。勇躍臨んだクラシック本番・皐月賞だったが、ここでは調整に難しさがあったか体重マイナス10キロでの出走。レコード決着を誘発したメイショウタバルの逃げを番手で追った展開の厳しさもあいまって、14着という結果に終わっている。
ダービーへの挑戦は見送り、ひと息置いて自身の機動力が活かせる福島のラジオNIKKEI賞に進出することに。放牧を挟んで6月頭から乗り込みを再開している。ウッドで丹念に基礎鍛錬と精神面の調整に注力。余念なく順調に稽古をこなせているあたり、減った身体はしっかり戻っているようだ。1週前のウッド単走では主戦・三浦騎手が騎乗し序盤から掛かり気味に速いラップを刻んでいく。さすがにラストは止まり気味ながらも馬なりで1F11秒9でまとめたあたりは、好調の証。
【最終追い切り】最終追いも三浦騎手が騎乗し、ウッドで単走。1週前追いでいかにも“ガス”が抜けた感があり、落ち着きと前向きさをうまく同居させた雰囲気で序盤は進んでいく。直線では外ラチ沿いに誘導され、ラストではさらに気持ちを乗せ鋭く伸びた。
【見解】中4週で芙蓉Sを勝った馬だが、弥生賞激走からの中5週だった皐月賞はさすがに勝手が違って本調子になかったようだし、弥生賞以上にタフな馬場、そして異常なハイペースを追走と悪条件が重なっていた。そこからしっかり立て直し、デビュー勝ちを収めた地、福島への舞台替わりなら持てる能力全開に期待できそう。前向きな面がある馬をしっかり三浦騎手が手の内に入れている感があり、最終追いは速過ぎず遅過ぎずの絶妙なサジ加減と言える5F67秒1(馬なり)で回ってきた。1枠1番から前々の競馬で押し切る可能性十分。
総合評価「S」
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著者プロフィール
西村武輝(にしむらぶこう) 【重賞深掘りプロジェクト】調教ライター。競走馬の追い切り評価を専門として、ネットメディア中心に執筆を続けているフリーライター。UMAJINでは「競馬サロン」開設以前から毎週の重賞出走全頭のレポートを執筆、担当。またプロレス関連業界にも関わっており、週刊プロレスや書籍等への寄稿歴もある。