スペインGPでリアウィングのDRSにトラブルが出たRB。レースでは勝負にならなかった(C)Getty Images

 RBの角田裕毅は現地6月23日に行われたスペインGPで19位と全く振るわなかった。レース中は全くペースが上がらず、ピットストップを3回も行うなど歯が立たなかった。

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 今回のグランプリから大掛かりなアップデートを施した空力パッケージを持ち込んだものの、初日にリアウィングのDRS(可変ウイング)に不具合が起き、フリー走行2回目からは旧式に戻して走った。ところが空力のバランスが崩れてひどいアンダーステアが出てしまい、ペースが上がらないどころかタイヤの劣化も進んで後塵を拝するしかなかった。

 RBのアラン・バーメイン・レーシングディレクターはグランプリ初日に「フリー走行1回目でユウキのクルマに冷却系に問題が発生し、新しいリアウィングのDRSにも問題が出てしまった」とコメント。それでもアップデートした空力のデータは向上していたという。

 問題は不具合が出たDRSを修復できるかに尽きる。具体的にはフラップが閉じなくなる症状が起きたとみられ、ダウンフォースを失ったまま走行を続ければ、大きな事故にもつながりかねない。特にスペインからは3週連続開催でアクセル全開率の高いオーストリアGP(レッドブルリンク)、中高速サーキットのイギリスGP(シルバーストーンサーキット)と続く。不具合を改善できなければ、同じトラブルに再び泣くこともある。

 角田も「うまく行かなかったことを理解するために起きたこと全てを分析することになる」。レース中は結果を度外視してあらゆることを試し、”膿”をつぶす作業に徹したとみられるが、次戦までの数日間にデータ解析がうまくいかなければ、古いパッケージに戻して暫定的に数レースを乗り切ることを検討する必要が出てくる。

 DRSが単なる機械的なトラブルであれば、それほど問題はないが、チームメートのダニエル・リカルドも同じ症状を抱え、グランプリ期間中に直すことができなかったことを考えれば、事態は意外と深刻なのかもしれない。

 角田はスペインGPを終えた時点でランキング10位。アストンマーティンのランス・ストロールをわずか2点差で上回っている。RB陣営がこの苦境をどのように乗り切るか注目だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]


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