自身の計画を着々と進める井上(右)に、大物プロモーターでもあるハーン氏(左)は黙っていなかった。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext  ボクシングの世界スー…

 

自身の計画を着々と進める井上(右)に、大物プロモーターでもあるハーン氏(左)は黙っていなかった。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 

 ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥に、業界の大物プロモーターが怒りを露わにした。

 英興行大手『Matchroom Boxing』のエディ・ハーンCEOは、米ボクシング専門YouTubeチャンネル『Fight Hub』に出演。来る9月にWBO世界同級2位のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)との対戦が決定的と見られている井上陣営に対して「ひどいミスマッチだ」と辛辣な意見を飛ばした。

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 ハーン氏が怒る理由は“モンスター”のプランにある。

 今月13日に井上はWBAから9月25日までに同級1位で、『Matchroom Boxing』と契約を締結するムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との指名試合を行うよう指令を受けた。だが、かねてから対戦交渉を進め、準備を重ねてきたドヘニー戦を優先。米メディア『Boxing Scene』では、共同プロモーターを務める米興行大手『TOP Rank』のボブ・アラム会長が「アフマダリエフ? それは誰なんだ。誰も彼のことを聞いたことがないだろう」と語気を強め、「日本では重要」と37歳のアイルランド人戦士との対戦の重視する考えを示した。

 王座剥奪の可能性があっても自身の計画を進めていく。このブレない王者陣営の動きにつぶさに反応したハーン氏は不満をぶちまける。まず、『TOP Rank』に対して「彼らがドヘニーとの試合を企画し、競争力のあるものとして売り出すことで、格闘技ファンを騙している」と断言。いわば自身の顧客であるアフマダリエフを「無名」と皮肉ったアラム氏にも、「私が一番腹を立てているのは、彼が嘘つきだからだ。『アフマダリエフなんて聞いたことない』なんて冗談だろ」と怒った。

 さらに「アフマダリエフは“意味のない試合”で世界チャンピオンになることに興味を示していない。それにドヘニーには申し訳ないが、彼が強かったのは5年も前だ」と強調したハーン氏は、「ナオヤ・イノウエにとってこの階級で唯一競争力がある相手はアフマダリエフだけだ」と強い口調で続けている。

「ボブ・アラム、ミスター・ホンダ(本田明彦氏)、そしてイノウエにお願いするよ。ミスマッチの、意味のない試合なんか提供するな。申し訳ないが、TJ・ドヘニーvsナオヤ・イノウエは酷いミスマッチだ。正直に言わせてもらうよ。たしかにTJは良いファイターではあるし、元世界チャンピオンだが、私たちを騙そうとなんかするな! イノウエと張り合える相手はアフマダリエフだけだ。指名挑戦者なんだ。試合をしてくれよ」

 しまいには「闘いをこよなく愛するファンの皆さん、ナオヤ・イノウエが素晴らしいファイターであることをただ称賛しないでほしい。こんなふざけたマッチメイクを受け入れてはいけない。サム・グッドマンを含めて他の選手じゃイノウエには勝てないよ」ともぶちまけたハーン氏。赤面させて言葉を発する表情からは相当なフラストレーションがにじみ出た。

 烈火の如く不満をこぼしたハーン氏。その言動は、皮肉にも井上との試合開催に対する必死さを鮮明にした。

 

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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