7月26日に開幕する「第33回オリンピック競技大会(2024/パリ)バスケットボール競技」に出場する男子日本代表。世界トップ…
7月26日に開幕する「第33回オリンピック競技大会(2024/パリ)バスケットボール競技」に出場する男子日本代表。世界トップクラスの強豪との対戦へ向けて、トム・ホーバスヘッドコーチはどのようなメンバーを選ぶのか。バスケットボールキングでは、日本代表を継続的に取材するライター陣に依頼し、本大会出場メンバー12名を予想してもらった。今回紹介するのは、フリーライター小沼克年氏の予想メンバーだ。
《小沼克年氏が予想するロスター12名》
PG:富樫勇樹、河村勇輝、テーブス海
SG/SF:比江島慎、渡邊雄太、馬場雄大、富永啓生、須田侑太郎
PF/C:八村塁、ジョシュ・ホーキンソン、山ノ内勇登、張本天傑
■ Wユウキを抑えて“正PG”の可能性も
富樫勇樹、河村勇輝という“小さなポイントガード”は、今や日本代表の象徴とも言える。「FIBAバスケットボールワールドカップ2023」で富樫はキャプテンとしてもチームを引っ張り、河村は平均13.6得点7.6アシストの活躍で日本をパリオリンピックへ導いた。サイズの不利をものともせず、国内トップレベルの司令塔に君臨する2人はパリでも攻撃の起点を担うはずだ。
同ポジションでは、速いペースを生み出してリズムを作り、自身のスコアリングとアシスト、さらにはリーダーシップが求められる。その点において優れているのは、テーブス海だ。スピードとサイズを兼ね備え、Wユウキに割って入る実力十分。ディフェンスではスイッチをする際のミスマッチを解消することができ、「自分がチームを勝たせる」といった強いメンタリティーも魅力だ。テーブスが“第3のPG”という声があるかもしれないが、正ポイントガードに躍り出る可能性があることも強調したい。
■ 激戦区の5人目に推したい「3&D」
シューティングガードでは、富永啓生がホーバスHCのファーストオプションか。日本の生命線は3ポイントシュート。目標のベスト8進出を達成できるかどうかは、3ポイントのスペシャリストである富永の左手次第と言っても過言ではない。
他の候補選手より一回りも二回りも経験値が高い比江島慎、渡邊雄太、馬場雄大の3選手は2大会連続となるオリンピック出場が濃厚だろう。渡邊に関しては昨年のW杯直前でケガもあった。今大会は万全な状態でコートに立ち、攻守両面でエース級の働きに期待がかかる。
大いに悩んだのは最後の1人。W杯メンバーの西田優大や原修太、吉井裕鷹などがひしめく激戦区のポジションだが、須田侑太郎を予想した。3ポイント成功率は今シーズンのBリーグレギュラーシーズンで36.5パーセント。ホーバスジャパンの試合では1試合で12本中9本の高確率で決めたこともあり、迷いのない思い切りの良さ、当たり負けしない守備力も評価に値する。ポイントガードのテーブス同様、W杯メンバー落選の無念をパリでぶつけてほしい。
■ インサイドにも未来を担う有望株を
今大会の代表選考における最大の目玉は、八村塁だ。パワーフォワードに八村を起用することができれば、まずはインサイドのレベルアップが大いに期待できる。世界相手に個で打開できる力も大きな武器となり、渡邊雄太がウイングポジションを主戦場にできるというメリットもある。
八村がメンバー入りすることを前提に考えると、バックアップには山ノ内勇登と張本天傑を推したい。両選手は3ポイントを含めた「ユーティリティ性」を重視して五輪メンバー選出を予想した。207センチの山ノ内は、ジョシュ・ホーキンソンとともに体を張ったリバウンドでの貢献が必須。パリオリンピックの先を見据え際に、河村と富永だけでなく、インサイド陣からも次代を担う選手を選んでほしいという思いもある。
今シーズン途中に右膝の大ケガから復帰した張本は、スモールフォワードでもプレーできることが強み。フィジカルを活かしたディフェンスや力強いシュートもあり、途中出場から流れを変える役目を担ってほしい。代表経験豊富な32歳には、コート外でもチームを支える働きに期待したい。
文=小沼克年