バイエルンの主砲ケインとの対人プレーを見せる伊藤。(C)Getty Images まさにビッグディールだ。現地時間6月13日、ドイツのブンデスリーガ1部の名門バイエルン・ミュンヘンは、日本代表DFの伊藤洋輝をシュツットガルトから完全移籍で獲…

 

バイエルンの主砲ケインとの対人プレーを見せる伊藤。(C)Getty Images

 

 まさにビッグディールだ。現地時間6月13日、ドイツのブンデスリーガ1部の名門バイエルン・ミュンヘンは、日本代表DFの伊藤洋輝をシュツットガルトから完全移籍で獲得したと発表した。契約は2028年6月末までの4年、移籍金は3000万ユーロ(約50億6000万円)となった。

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 J2のジュビロ磐田から期限付き移籍でシュツットガルトに鳴り物入りで入団してから約3年。伊藤は、SBを主戦場に、時にCBやボランチもこなすマルチロールとして声価を高め、ついにシンデレラストーリーを完成させた。

 バイエルンの公式ホームページ上で声明を発表した25歳は「世界有数のビッグクラブでプレーできることを、とても光栄に思っています」と吐露。6度のチャンピオンズ・リーグ制覇を誇るメガクラブ入団への喜びを露わにしたうえで、「バイエルンは、僕にとって完璧なクラブです。いまは日本でも名高いバイエルンでの挑戦を楽しみにしていますし、多くのタイトルを獲得できるように自分の役割を果たしていきたい」と意気込んだ。

 ドイツ国内でも寝耳に水だった伊藤のステップアップ移籍。この電撃契約はバイエルンにとっても重要な意味を持つ。昨シーズンにブンデスリーガでレバークーゼンの後塵を拝して3位に終わった“絶対王者”は、国内リーグ連覇が「11」でストップ。捲土重来を期する新シーズンに向けては、“恩師”ジョゼップ・グアルディオラに叩き込まれた攻撃サッカーを標榜するヴァンサン・コンパニ氏を招聘。新体制の土台作りに余念がない。

 無論、決して安い額とは言えない。では、バイエルンが伊藤獲得に動いたワケは何だったのか。コンパニ体制で最初の補強に尽力したマックス・エーベルSDは「私やクラブは、かなりの長期間にわたって彼のことは見ていた。この数年間にわたってシュトゥットガルトでとても素晴らしい成長を遂げていたし、とても良い選手だ」と評価する。

「まだ若いが、イトウのような経験のある選手を獲得できたことに私たちはかなり満足している。彼のクオリティは左利きの卓越したフットボール選手であり、とても良いディフェンダーで、空中戦に強く、常にピッチ上にもたらしている素晴らしいエネルギーもあり、そしてすべてを兼ね備えた彼こそ私たちがまさに必要としている選手だ」

 複数ポジションをこなせる適応力、そして対人プレーでの冷静な対応力と左足での安定したビルドアップ能力を評価したバイエルン。ドイツ・メディアも同様の評価が25歳の日本代表には集まっている。

 バイエルンの補強状況について「イトウは始まりに過ぎない」と伝えるドイツの専門誌『Kicker』は、イングランド・プレミアリーグの名門トッテナムが獲得に迫っていたという舞台裏を紹介。さらに地元紙『Munchner Merkur』は「シュツットガルトにとっては失望をもたらす別れだ。ファイナルサードでも違いを生み出せる彼はコンパニ新体制下で守備のオプションをもたらし、戦術に馴染むはずである」と期待を寄せた。

 ここから名門での競争が待ち受けている伊藤。そこで実力を示せれば、森保ジャパンにとっても小さくない強化となるはずだ。

 

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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