女子ビーチバレーボーラーの日本一を決める第28回全日本ビーチバレー女子選手権大会(8月17日~20日)が、大阪府泉南郡岬町のせんなん里海公園ビーチバレー競技場(潮騒ビバレー他)で行なわれた。 都道府県代表を含めて、全56チームが参加。…

 女子ビーチバレーボーラーの日本一を決める第28回全日本ビーチバレー女子選手権大会(8月17日~20日)が、大阪府泉南郡岬町のせんなん里海公園ビーチバレー競技場(潮騒ビバレー他)で行なわれた。

 都道府県代表を含めて、全56チームが参加。4日間で争われる同選手権は、毎年酷暑の時期に行なわれることもあって、「最も過酷な大会」と言われている。注目の坂口佳穂(21歳/マイナビ)&藤井桜子(26歳/市進ホールディングス)ペアも、東京都代表としてその厳しい戦いに挑んだ。



全日本女子選手権に挑んだ坂口佳穂(左)&藤井桜子(右)ペア

 今季からペアを組んだふたりだが、ここ最近はそれぞれ別の選手とペアを組んで大会に出場。ふたりが公式戦でペアを組むのは4大会ぶりとなる。そして、坂口と藤井がペアを組むのは、これが最後になることが決まっている。大会を前にして、坂口はこう語った。

「藤井さんは私を引っ張ってくれて、何度も助けてもらってきた。(ペアを組むのは)最後になるので、悔いのない大会にしたいと思っている」

 大会第1日目、2日目に行なわれた予選リーグ(※)。坂口&藤井ペアはひとつのセットも失うことなく、3戦3勝。32チームで行なわれる決勝トーナメントに難なく駒を進めた。
※12組に分かれて、各組4チームによる総当たり戦を実施。上位2チームが決勝トーナメントに進出。推薦8チームは決勝トーナメントから出場。

 そして、神奈川県代表の小久保莉菜メリー(20歳)&若井衣有(20歳)ペアと対戦した決勝トーナメント1回戦も、予選リーグの勢いを維持して2-0(21-16、21-8)とストレート勝ちを収めた。

 続く2回戦は、新潟県代表の宮川杏奈(26歳)&沢目繭(23歳)ペアと激突。途中流れを失う場面もあったものの、2-1(21-16、19-21、15-12)と勝利してベスト8入りを決めた。藤井が言う。

「課題である詰めの甘さが出て、危ないところもあったが、勝ち切れたことは大きい」

 迎えた準々決勝。ここを突破すれば悲願の4強入りとなるが、対戦相手は推薦出場組で、しかも第1シードの長谷川暁子(31歳)&二見梓(25歳)ペア。同ペアは今季、ジャパンビーチバレーボールツアーを含めてすでに国内3勝を挙げ、ワールドツアーでもモロッコ・アガディール大会で準優勝の結果を残している強豪だ。

 その大一番、坂口&藤井ペアは、小細工なしに真っ向勝負を挑んだ。

「私たちは挑戦者なので、思い切っていこうと。私たちも攻撃的なペアなので、相手もそうだとリズムをつかみやすい」

 坂口がそう語ったとおり、身長181cmの二見の高さと長谷川のテクニックを生かして強打中心の攻撃を仕掛けてくる相手に対し、坂口のスパイク、藤井のサーブなどそれぞれのよさを存分に発揮して対抗。チームの持ち味である思い切りのいい攻撃でポイントを重ねて、優勝候補に食らいついていった。

 しかし、中盤あたりから実力の差が徐々に表れ始めた。「やはりパワーの差が……」と坂口が話すように、スパイクで打ち負け出すと、坂口のレシーブミスなどが失点につながってしまう。途中、坂口の1ブロックにするなど守備システムの変更を試みるも、その効果もなく、第1セットは18-21で奪われた。

 第2セットも、坂口のサーブが決まり、動きの悪い二見にボールを集めるなどして、序盤は互角の戦いを見せた。が、中盤を迎えると、息切れ。相手に一気に得点を重ねられて13-21でセットを落とし、セットカウント0-2で敗退した。

「自分たちのバレーをやる、ということはできたと思う。課題も含めて、次につながるゲームにはなった」

 試合後、坂口がそう振り返れば、藤井もそれに頷いてこう語った。

「後半の勝負強さなどの問題はあったが、(チームとして)いいところも出せた」

 3日間で6試合を戦った坂口&藤井ペア。サーブやスパイクなど、強打によるふたりの攻撃性は要所で光っていた。決勝トーナメントの2回戦では今季の課題のひとつ、相手に合わせてズルズルとリズムを悪くしてしまう流れも断ち切ることができた。

 さらに、坂口個人としても、試合中に藤井が思わず「すごい!」と叫ぶほどの、スパイクやサーブが何度も決まった。大会を通して、成長の跡が随所に見られた。

 藤井が大会を振り返る。

「お互いのいい部分は出せたと思う。(次のステージに上がるには)力的にはあと少し。坂口も成長しているし、私も成長している面を見せられた」

 今シーズンは10月まで続くが、これで坂口&藤井ペアは解散。今後はお互いに別の選手とペアを組んで大会に臨む。その次なる”新たなスタート”に向けて、坂口はこう抱負を語った。

「藤井さんとはふたりで勝つことなど、いい意味でビーチバレーを楽しめた。残りのシーズンは、いろいろな選手と組んで、来シーズンに向けて結果を求めていきたい」

 坂口の挑戦は続く。

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