井上に敗れた直後に悲痛な表情を浮かべたタパレス。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext ショッキングな敗戦から名手が再起を図ろうとしている。昨年12月に井上尚弥(大橋)とのボクシング世界スーパーバンタム級4団体統…

 

井上に敗れた直後に悲痛な表情を浮かべたタパレス。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 

 ショッキングな敗戦から名手が再起を図ろうとしている。昨年12月に井上尚弥(大橋)とのボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一戦に敗れたマーロン・タパレス(フィリピン)だ。

 昨年末、列島を熱狂の渦に巻き込んだ“怪物”の快勝劇の裏で、「ボクシング大国」のベテランは、打ちひしがれていた。

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 下馬評こそ決して高くはなかったが、「俺が悪夢になる」と意気込んで挑んだタパレスはL字ガードを用いた守戦で奮闘。井上にも「ディフェンス力が思っていた以上に凄くて。意外とパンチが……当てられなかった」と言わしめた。だがしかし、やはり地力の差は否めず。終盤に畳みかけられ、10回KOで敗北した。

 井上戦後の会見で、「とにかくスピードが速くてついていけなかった。タイミングを合わせることができなかった」と悔し気に語ったタパレスの痛々しい表情はダメージの深刻さと、井上との力量の差を物語った。

 そこから約半年――。タパレスはすでに次の目標に向かって歩みを進めている。今年5月10日には、空位となっていたWBCアジアコンチネンタル王座を懸け、ナタポン・ジャンカエーウ(タイ)と対戦。わずか131秒でのKOというセンセーショナルな勝利を挙げた。

 世界戦への再挑戦に向け、これ以上にない結果で一歩を踏み出した。そんな32歳のリスタートには母国メディアも称賛を送る。日刊紙『Cebu Daily News』は「タパレスはふたたび存在感を示している」と銘打った記事を掲載。その中で「日本のスーパースターであるナオヤ・イノウエとの対戦で敗れて全てを失った彼は、もう一度、世界タイトルに向けて動き出し、失われた栄光を取り戻そうとしている」と現状を伝えた。

 さらにタパレスがIBFとWBCで3位、WBAで5位と各団体の世界ランクでも上位に位置していることを受けて同紙は、「いまだその実力は健在だ」と強調。「タパレスはまたすぐに世界タイトルを獲得するかもしれないし、イノウエと再戦する可能性あるかもしれない」と期待を寄せた。

 井上との再戦の可能性は、よほどの展開がない限り、非現実的だと言わざるを得ない。だが、モンスターとの激闘を見せた名手がふたたびタイトル戦線に絡めるかは大いに興味深いところだ。

 

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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