ヤクルトは“8回の男”清水昇が1軍に帰ってきた(C)産経新聞社 ヤクルトは6月11日、みずほペイペイドームで行われたソフトバンク戦で2-4と逆転負けを喫した。交流戦も終盤に入ったが、この日、上半身のコンディション不良のため中村悠平が…

ヤクルトは“8回の男”清水昇が1軍に帰ってきた(C)産経新聞社

 ヤクルトは6月11日、みずほペイペイドームで行われたソフトバンク戦で2-4と逆転負けを喫した。交流戦も終盤に入ったが、この日、上半身のコンディション不良のため中村悠平が出場選手登録を抹消された。正捕手の離脱という危機に直面したが、このピンチを乗り越えていかなければならない。

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 そんな中、4月26日に出場選手登録を外れて2軍調整をしていたリリーフの清水昇が1軍に合流した。近く出場選手登録される見込みで、開幕から10試合で0勝3敗2セーブ、防御率9.00と振るわなかった“8回の男”が、再び1軍で輝きを放つときがきた。

 ファームでは10試合で1勝1敗1セーブ、防御率5.06だったものの、2020年から4年連続で50試合以上に登板し、21年には72試合に登板してリーグ優勝に貢献した実績と経験を誇る右腕の復帰は心強い。

 また、右肘痛からの完全復活を目指す奥川恭伸も1軍に合流。奥川は今春のキャンプを1軍で迎えたが、コンディション不良で開幕1軍は叶わず、ファームで調整を続けてきた。6月14日のオリックス戦(京セラドーム)で1軍登板を果たす予定の右腕が、リーグ戦再開後も大きな戦力となってくれることを期待せずにはいられない。

 ヤクルトはエースの小川泰弘が上半身のコンディション不良で開幕に間に合わず、抑えの田口麗斗も開幕直後にファームで再調整するなど、投手陣は苦しい状況に陥っていた。

 特にブルペン陣の負担は大きくなった。先発が早い回でマウンドを降りてしまえば、それだけ登板数も多くなる。それでも3連投を避けながら、それぞれが今やるべきことに集中してきた。

 ロングリリーバーの大西広樹はここまでチームトップの25試合に登板し、左腕の山本大貴は23試合に登板。抑えの役割も担ったベテランの石山泰稚も18試合に登板し、どんな状況でも自身のパフォーマンスを最大限発揮するために努めてきた。

 新外国人のホセ・エスパーダも今季初めてリリーフ陣の仲間入りを果たし、ここまで22試合に登板している。右腕は「ブルペンの雰囲気はとてもいい。個々のピッチャーが投げ切ることをもっと意識して引き続き努力すれば、自ずといい結果が出ると思う」と話し、「みんなブルペン陣は、家族みたいな雰囲気で温かく迎え入れてくれる」と、まとまりの良さを強調した。

 今季は終盤の厳しい場面での登板も多い木澤尚文は「いろいろ勉強しながら、必要以上に結果に感情を上乗せしないようにしている」と話す。

 「先発ピッチャーの勝ちを消してしまったときは、すごく申し訳ないという気持ちはありますけど、相手もいるスポーツなので、打たれたとか、自分に負けがついたところで、結果に必要以上に感情を乗せて『ヤり返すぞ』とか、気持ちを必要以上に乗せない」と、毎日のようにマウンドに上がらないといけないセットアッパーらしく、自分自身をコントロールする術を磨いている。

 さらに「ちゃんと自分がやるべきことをマウンドでできたかどうかの評価について、今年はシフトできている」と話し、「抑えたときでも反省があったら、執着しながら翌日過ごしたりしますし、逆に見栄えが良くない結果でも、自分がやりたいことができていたら、自分でちゃんと評価してあげたいと思う」と、マウンド上では熱い右腕も、降板後は冷静に自己分析している。

 また、ブルペン陣について「最初、田口さんがいなかったり、清水さんが調整されてますけど、みんな補えるところで頑張ろうとなっていますし、その中でいい競争意識でできていると思う」と話していた。

 その清水が1軍に帰ってきて、田口もクローザーとして本来の調子を取り戻してきた。厚みを増したブルペン陣で、チームの危機を乗り越えていく。

[文:別府勉]

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