RBとの契約延長にこぎつけた角田。(C)Getty Images

 現地時間6月8日、F1に参戦するRBは、角田裕毅との契約を2025年まで延長すると発表した。前身のアルファタウリからF1デビューし、来季で参戦5年目となる角田は、「残ることができてとても嬉しいです」と喜びを表した。

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 今季の角田は開幕から好調を維持。第9戦カナダGPを前にし、合計19ポイントを獲得。チームメイトで、5ポイントしか獲得できていないダニエル・リカルドにも大きく差をつけている。

 開幕当初はRB残留だけでなく、「F1に残るのは厳しいのではないか」という見方もあった。しかし、リカルドの大不振に加え、角田自身が安定した走りで結果を出し続け、一転して契約延長に至ったと見られる。

 とはいえ、シーズン中の契約延長は本人が「こんなに早い時期に将来が決まっていい気分」と漏らしたように、小さくない驚きではあった。F1公式サイトのローレンス・バレット記者は、過去6戦中5戦でポイントを獲得し、ドライバーズランキングで10位につける角田の成績を「RBの状況を考えると、かなりの偉業だ」と絶賛。そのうえで去就が早期決着を見た理由を説いている。

「今シーズンのツノダは本当に調子を上げてきた。昨年もパフォーマンス事態は悪くなかったが、一貫性に欠けていた。しかし、今シーズンは一貫性もある。レース前の週末の準備が強化され、最初のプラクティス・セッションからペースに乗り、自信をもって走れている。このことはRBの経営陣にも伝わっている」

 さらに「ドライバーは適切な環境であれば進歩する」と伝えたバレット記者は、オフトラックでの角田の“成長”にもクローズアップした。

「今年のツノダはオフトラックでもレベルアップした。振る舞い方が様変わりし、自信に満ちている。そして、悪名高い“赤い霧の瞬間”(レース中に激高すること)の自分をうまくコントロールする方法を見つけた。それでいて彼はチャーミングで、愛すべきキャラクターを保っている」

 あらゆる面で成熟した角田。そうした中で今季はキックザウバーから完全ワークスに切り替わるアウディやハースなども移籍先の候補として挙げられた。その事実も「いかに評価が上がっているかの証」とするバレット記者は、「契約には2025年末以降も彼が滞在できるオプションが含まれているとされ、レッドブルが将来の選択肢としてツノダを留めておきたいと考えたものと見られる」と断言。親チームの事情も絡んだ判断であった論じた。

 成長著しい角田。1993~96年の4年間、ティレルに所属した片山右京を超える5シーズン目を迎える日本の若武者から目が離せない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]


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