物怖じしない物言いが時に問題ともなっていた角田。しかし、今季は明らかに取り乱すような場面は減っている。(C)Getty Images

 さらなる成長に向け、日本のカリスマレーサーは心身ともに充実の日々を送っているようだ。ビザ・キャッシュアップ・RB(以下RB)に所属する角田裕毅だ。

 目に見える結果で周囲の期待に応えている。ここまでの8戦中5戦で入賞を飾るなど好調を維持し、ドライバーランキングでも通算19ポイントで10位につける健闘ぶり。チーム関係者、ファン、各国メディアからも称賛され、今季のF1の主役のひとりとなっている。

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 もっとも、開幕当初の角田は精神的な“脆さ”も見せていた。F1の開幕戦となるバーレーンGPではチームメイトのダニエル・リカルドと衝突するシーンもあった。

 チームが、決勝レース途中に前を走っていた角田にリカルドとの順位の入れ替えを指示。これに24歳は「冗談だろ?今か?」と無線を通じて不満を漏らしながらも従ったが、先を行ったオーストラリア人が順位を上げることができなかったにもかかわらず、13位でゴールしたため、クールダウンラップで超接近する行動を見せた。

 この時、リカルドから「クソヘルメット野郎」と罵られもした角田。しかし、このバーレーンGP以降の彼は明らかに取り乱したような振る舞いを見せなくなった。無論、ここまでわずか5ポイントしか獲得できていない“相棒”を上回る好成績を収めているレース内容による自信も影響しているのだろう。加えて、本人には意識的に取り組んでいることがあるという。

 英衛星放送『Sky Sports』のポッドキャスト番組で取材に応じた角田は「無線ボタンの使い方を学んだんだ」と告白。そして、こう続けた。

「最初の数年は『無線はただただこっちが悪態をつくためだけのものだ』という感じだったんだ。でも最近になって、チームのためにフィードバックを与えるという使い方がわかってきた。それは間違いなくポジティブなことだし、感情的なコントロールを失うことなく、コンスタントに良いパフォーマンスを発揮できている理由のひとつだ」

 さらに「たぶん2年前の自分は無線を押して、『こんなところで追い越すなんて無理だよ』とかって周りに叫んでいたと思う」と明かした角田は、「でも今は冷静さを保って挑戦し続けられている」とも強調した。

 精神的な強さを得た角田。「僕はもっと成長しないといけない」と力説する24歳の快進撃は、まだまだ止まらない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]


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