NASCARは世界最速のハーフマイル、ブリストルで3カテゴリー全てが開催。この3カテゴリー全てに出場したカイル・ブッシュが全レースで勝利。2010年以来となる、同一週3カテゴリー制覇を成し遂げた。カップ・シリーズでは“トヨタ カムリ”がトッ…

NASCARは世界最速のハーフマイル、ブリストルで3カテゴリー全てが開催。この3カテゴリー全てに出場したカイル・ブッシュが全レースで勝利。2010年以来となる、同一週3カテゴリー制覇を成し遂げた。カップ・シリーズでは“トヨタ カムリ”がトップ4独占。エクスフィニティとトラックでも1-2フィニッシュとトヨタ勢が圧勝したレースウィークとなった。

8月19日(土)、米国南部テネシー州ブリストルのブリストル・モーター・スピードウェイでモンスターエナジー・NASCARカップ・シリーズ第24戦「Bass Pro Shops / NRA Night Race」が開催された。
ハイバンクな「世界最速のハーフマイル」ブリストルでのレースは今季2度目。トヨタはこれまでにここブリストルで8勝を挙げているが、そのうち4勝がカイル・ブッシュによるもの。その他、マット・ケンゼスが2勝(トヨタ移籍以前にも2勝)、デニー・ハムリンも1勝を挙げている。
カイル・ブッシュが2010年にNASCAR史上初めて、同一週に開催されたNASCARトップ3カテゴリーのレース全てに勝利するという「スウィープ」を達成したのがこのブリストルである。そして、その後も何度か「スウィープ」に挑戦してきたカイル・ブッシュだが、今年も水曜日のトラック、そして前日のエクスフィニティを制し、2度目の「スウィープ」達成なるかに注目が集まった。 

4月の第8戦は昼間の開催だが、この夏のブリストル戦は例年土曜日のナイトレースとして開催。19日(土)午後7時48分に0.533マイルショートオーバルを125周、125周、250周の3ステージ合計500周(266.5マイル:約430km)して競われる決勝レースがスタートした。
今季よりカップ・シリーズにステップアップした21歳のルーキー、エリック・ジョーンズが自身初のポールポジションから序盤戦をリード。これをケンゼス、マーティン・トゥルーエクス・Jr.らがトップ5で追った。
注目のカイル・ブッシュは18番手とやや後方のスタートながら、25周目にはトップ10圏内へ。その後もみるみるうちに順位を上げていき、ステージ1中盤に出されたイエローコーションからの再スタート後は首位争いに加わった。
カイル・ブッシュはエリック・ジョーンズら若手のホープ3人との激しい首位争いの末に、115周目に首位を奪取。その後も抜きつ抜かれつのバトルとなったが、最終的にカイル・ブッシュがトップでステージ1をフィニッシュ。今季10度目のステージウィンを果たした。エリック・ジョーンズが2位、ケンゼスが5位、ハムリンが6位、トゥルーエクス・Jr.が9位でポイントを獲得。
ステージ2スタート前のコーションでやや順位は入れ替わり、エリック・ジョーンズが再び首位でスタート。カイル・ブッシュは6位まで順位を落としたものの、再スタート後3周で2位へとポジションを上げ、エリック・ジョーンズとの1-2体勢とし、167周目に首位へ。その後もエリック・ジョーンズとの首位を入れ替えながらのバトルが続き、それをケンゼスが追う形となった。
ステージ終盤にコーションが出されると、カイル・ブッシュらはピットへ向かったが、ケンゼスはコース上に残る作戦に。これにより、ステージ2はケンゼスがステージウィン。エリック・ジョーンズが5位、ハムリンが7位、カイル・ブッシュが8位に入った。
ステージ2を制したケンゼスだったが、ステージ3スタート前のコーションでピットへ向かった際、痛恨のスピード違反ペナルティ。20位へ後退。エリック・ジョーンズが首位、カイル・ブッシュ3位、ハムリン4位で再スタート。
すぐにカイル・ブッシュは2位へと浮上したが、この日のエリック・ジョーンズは絶好調で、一時はカイル・ブッシュも引き離し独走。もし勝てばルーキーでは唯一の「プレーオフ」入りが決まるだけに、エリック・ジョーンズの初優勝なるかにも注目が集まった。
レース終盤に入ると、ペナルティから追い上げてきたケンゼスも首位争いに。ケンゼスは現在15位でプレーオフ圏内にいるが、それを確実なものとするためにも今季初勝利を切望しており、カイル・ブッシュ、エリック・ジョーンズ、ケンゼスの3台による激しい首位争いとなった。
445周目にカイル・ブッシュがエリック・ジョーンズをかわして首位に立ったが、エリック・ジョーンズも離されずに追走。終盤まで1秒以内での首位争いを繰り広げたが、最後はカイル・ブッシュが逃げ切り、今季2勝目。エリック・ジョーンズは自己最高位の2位、ハムリンが3位、ケンゼスが4位でチェッカーを受け、“トヨタ カムリ”は今季2度目のトップ4独占(1度目は第22戦ワトキンス・グレン)を果たした。
カイル・ブッシュは自身記念すべきカップ・シリーズ出場450戦目で通算40勝目。14年の参戦歴のうち、トヨタで10年目、36勝を挙げている。そしてこの勝利により、カイル・ブッシュは2010年に続き、NASCAR史上で自身しか成し遂げていない、同一週3カテゴリー制覇という大記録を再度達成することとなった。 

次戦第25戦は9月3日(日)、米国南東部サウスカロライナ州ダーリントンのダーリントン・レースウェイで行われる。 
 

ドライバー カイル・ブッシュ
「(記録達成は)本当に大変だった。エリック・ジョーンズは強敵で、全力を尽くした。本当に疲れ切ったが、最高の結果になった。チームやクルーチーフに何と言って感謝して良いか分からない。車両も私も完璧と言えるわけではなかったが、我々の“トヨタ カムリ”は速かった。みんなを誇りに思う。エリック・ジョーンズとのバトルは楽しかったし、彼に敬意を表する。彼はチームメイト同様に素晴らしいレースをしてくれた。彼のような若く、才能のあるドライバーとレースを戦えることは素晴らしい」