ウシクと井上。ともに「最強」の称号を得るに値する実績は残しているだけに、論争は激しさを増す。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext  ボクシング界において「最…

 

ウシクと井上。ともに「最強」の称号を得るに値する実績は残しているだけに、論争は激しさを増す。(C)Getty Images、(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 

 ボクシング界において「最も権威がある」とされる米老舗誌『THE RING』に異論が飛んだ。

 米興行大手『TOP RANK』のトッド・デュボフ社長が、同誌の定めた階級を超えた格付けランク「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」の最新版に持論を展開。同社が共同プロモート契約を結ぶ、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)の“2位転落”に「なんでだ」と主張した。

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 わずか10日で1位が入れ替わる異例の展開ではあった。

 5月6日にルイス・ネリ(メキシコ)との“東京ドーム決戦”を制した井上は、3日後には、『THE RING』が2年ぶりに1位選出。「正気の沙汰じゃなかった」と評価された。がしかし、同19日にサウジアラビア・リヤドで開催された世界ヘビー級4団体統一戦でタイソン・フューリー(英国)を破り、史上初のヘビー級4団体統一を成し遂げたオレクサンドル・ウシク(ウクライナ)が1位に舞い戻っていた。

 わずか10日での変更にご意見番として知られる男は黙っていなかった。英スポーツ専門ラジオ局『talk SPORT』の番組に出演したデュボフ社長は「私はナオヤ・イノウエこそが世界最強だと思っている。ウシクは彼に遠く及ばない」と断言。現在のPFPが「パフォーマンスに容易く左右される」と疑問を投げかけている。

「人々はパウンド・フォー・パウンドに夢中になっているが、あれは最新の試合の出来で簡単に動く。もしも、私がフューリーとウシクの5回までを見て、『彼(ウシク)が1位だ』と言えば、『なんだって? どうして彼が1位なんだ。アッパーを全部受けているじゃないか』となるだろう。『彼の頭は上がり、両手は下がっている』とね。これは私の意見だ。私はそんな姿になったイノウエを見たことはない」

 ネリ戦では井上にとってキャリア初ダウンを喫する場面もあった。それは世界に衝撃を与えたわけだが、デュボフ社長は「一瞬のダウンはあったが、あれはなんでもない」と力説。続けざまに井上と他のファイターたちとの違いを強調した。

「私はウシクを酷評するつもりはないが、彼は(ダニエル)デュボア戦でもボディーショットを食らっていて、物議を醸す戦いだったと人々は思っている。それは紛れもない事実だ。クロフォードも素晴らしいファイターだと思うが、イノウエとは技量が違う。イノウエは優れた技量で全ての階級を制圧してきた。そして誰とでも対戦する。彼は自信を持っており、相手を解体する様は本当に唯一無二だ」

 いかなる敵もなぎ倒してきた井上。その圧倒的な強さを知っているからこそ、百戦錬磨の名社長は「世界で最も価値がある」とも言われるPFPに異論を唱えずにはいられないようだ。

 

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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