いまだ敵なしの井上。その強さはライバルたちの垂涎の的となっている。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext 超人的強さを誇るからこそ、ライバルからの対戦要求も集中する。ボクシングの世界スーパーバンタム級4団…

いまだ敵なしの井上。その強さはライバルたちの垂涎の的となっている。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 超人的強さを誇るからこそ、ライバルからの対戦要求も集中する。ボクシングの世界スーパーバンタム級4団体統一王者に君臨する井上尚弥(大橋)との勝負を望むファイターが続いている。

 もはや井上は階級の垣根を越えて語られる。現地時間6月5日には、WBA世界フェザー級の新王者になったばかりのニック・ボール(英国)の陣営が日本の怪物を「本当にやりたい相手」としてリストアップした。

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 27歳の世界王者の実力も伊達ではない。20戦19勝(11KO)1分けと無敗を誇るボールは、157センチと小柄ながら積極果敢に打ち出し、相手に仕掛けてくる戦法を基本とする“突貫ファイター”だ。

 現地時間6月1日にサウジアラビアで行われたWBA世界フェザー級王者のレイモンド・フォード(米国)戦でも判定(2-1)で勝利。終盤にカウンターやアッパーを被弾する危うい場面はあったが、序盤から最後まで手数は減らず。念願だった世界タイトルを手にした。

 いまだ伸びしろのある27歳は自信を深めている。だからこそ、陣営は“大物”とのメガマッチを大胆に求めた。米ボクシング専門サイト『Boxing Scene』の取材に応じたボールのヘッドトレーナーであるポール・スティーブンソン氏は「本当に望んでいるのは、ナオヤ・イノウエとの試合だ」と断言。そして「我々が今後のニックの戦いを計画するうえで、イノウエとの戦いは最大の戦いになる」と続けた。

 無論、現時点で井上がいるスーパーバンタム級はボールの属するフェザー級から1階級下。対戦するのであれば、どちらかが転級をするしかない。しかし、「イノウエは今のボクシング界で最高の選手だ」と称賛するスティーブンソン氏は「間違いなく物凄い戦いになる。おそらく爆発的な展開になるだろう。ニックはイノウエを動揺させる大きなチャンスを持っていると思う。我々は彼を信じている」と期待を寄せた。

「イノウエとニックは、今ボクシング界で最高の存在だ。もちろん我々はニックを彼(井上)のような選手にさせることを目指しているが、2人のアプローチは似ている。勝負を求めることは決してナンセンスじゃない。彼はただ、そこに入り、ベストの相手(井上)と戦い、そして(我々は)戦いを見守る。その戦いではイノウエとニックの心が通じ合うことになるだろう。それは素晴らしいことだよ」

 もっとも、井上は「ボクシングは階級制のスポーツなんだから自分にも限界はある。フェザー級にいく準備はしているが、そこ(いつのタイミングか)はまだなんとも言えない」と階級上げに慎重な姿勢を見せており、ボールとの対戦が実現するのはしばらく先とも言える。

 それでも軽量級では異例とも言える高額なファイトマネーを叩き出し、異次元の強さも維持するモンスターには挑戦を求める価値がある――。スティーブンソン氏の言動から井上の階級の垣根を越え、ひっきりなしに挑戦状を突きつけられる理由が見えてくる。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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