これまでの森保ジャパンは「久保建英が一番下」という状態が約5年間続いた。が、昨年後半から鈴木彩艶(シントトロイデン)や…

 これまでの森保ジャパンは「久保建英が一番下」という状態が約5年間続いた。が、昨年後半から鈴木彩艶シントトロイデン)や細谷真大(柏)が呼ばれ始め、ようやくパリ世代が少しずつA代表に入りつつある。

 とはいえ、1~2月のアジアカップ(カタール)を見ても、主力級と位置付けられたのは久保と鈴木だけ。細谷は今後の定着が不透明な状況だ。それ以外に東京五輪世代中心のA代表に風穴を空けられる人材が数多くいるかと言うと、そうとは言い難いものがある。

「正直、僕の下が全然入ってこないのはちょっと悲しい。いつまでも同じメンバーでいるのはよくないし、どんどん新しい風が入ってくるべき。かと言って、16、17、18で代表に割って入れる選手がいるかというと、僕は分からない。そういう選手がいるのであれば、代表の門を捉えてほしいなと思います」

 4日のヤンゴン初練習後に久保が語気を強めていたように、このまま東京世代中心の代表で2年後の大舞台まで行ってしまうのは危険だ。若返りが図られず、チームにも沈滞感が生まれかねない状態というのは、2002年から2006年のジーコジャパン時代に通じるものがある。それは回避しなければならないのは確かだ。

南野拓実も太鼓判を押すポテンシャル

 そういう意味で、久保と同い年の鈴木唯人(ブレンビー)の参戦は非常に大きなポイントだ。彼は清水エスパルスに在籍していた2022年1月の国内組代表合宿に参加したものの、そこから一度もA代表に呼ばれることはなかった。2023年1月にはフランス1部・ストラスブールにレンタルで赴いたが、3試合出場とチャンスらしいチャンスをつかめないまま帰国。「次こそは自分の地位を欧州で確立する」という強い意思を持って、北欧・デンマークの名門に完全移籍する決意を固めたのだ。

 大柄な選手がズラリと並ぶリーグで当初は戸惑いも覚えただろうが、徐々に出番を増やし、最終的には今季公式戦11ゴール7アシストという目覚ましい成果を残し、堂々と森保ジャパンに返り咲いたのである。

 現クラブでは3バックシステムの2シャドウを主戦場にしているが、セカンドトップの位置でリズムを変化させたり、高度な技術と創造性で敵をかく乱したり、ゴール前へ飛び込んでいってフィニッシュワークに持ち込むといったスタイルはドルトムント時代の香川真司(C大阪)を彷彿させるものがある。

「香川に似ている」という評価を本人も前向きに受け止めている様子で、21歳で日本代表エースの座を射止めた先輩に追いつけ追い越せで持てる力を発揮してほしいところ。それが久保の言う「新しい風」になるはずだ。

「若くして才能ある選手というのは沢山いますけど、唯人もその1人。今季は自分のチームで素晴らしい結果を残しているし、今日の練習でも一番シュートを決めていたのが唯人かなと。そのくらいの調子のよさをアピールしているので、チーム一丸となってやっていければいいかなと思います。

 やはり20歳前後にA代表初招集を受けたことのある先輩・南野拓実(モナコ)も一目置いていたが、それだけのポテンシャルが鈴木唯人にはある。今回は前日会見で森保一監督が「起用するとしたら途中からになる」と明言した通り、ミャンマー戦で代表デビューを飾ることが確実になったと言っていい。

■森保一監督も久保とのコンビに「相手にとって圧力となる」と期待

 3日の千葉県内の練習時には久保と並んで2シャドウに入ったり、上田綺世(フェイエノールト)の背後でトップ下でプレーする場面も見られた。特に久保とのコンビについて指揮官は「2人とも攻撃のアイディアを非常に多く持っていると思いますので、もし2人が組んだ場合はより日本の攻撃をけん引してもらい、相手にとって圧力になる攻撃を見せてくれればなと思っています」と期待を口にした。その言葉通り、よりゴール前の鋭さが発揮されるようになれば理想的だ。

「サッカー選手は結局のところ能力。サッカーでどれだけ見せられるか。毎日、どれだけ自分に厳しく取り組めるか、ブレずにやり続けられるかが大事だと思います。試合に出ることが大事だし、それを地道に続けることで評価も必ず上がってくる」と昨夏のデンマーク移籍前に鈴木唯人は鋭い目力を見せつつ、こう語気を強めていた。

 その言葉通りの1年間を過ごした今、どこまで実力を引き上げることができたのか。今回のミャンマー戦が最初の試金石になるのは間違いないだろう。

(取材・文/元川悦子)

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