ネリを怒涛の逆襲で打ち破った井上。その勢いはまさにモンスターだった。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext 2階級での4団体統一を果たした井上尚弥(大橋)は「世界最強」か否か。 これはここ1か月にわたって…

ネリを怒涛の逆襲で打ち破った井上。その勢いはまさにモンスターだった。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 2階級での4団体統一を果たした井上尚弥(大橋)は「世界最強」か否か。

 これはここ1か月にわたって、主にメディアとファンを中心にボクシング界で、さまざまに論じられてきたテーマだ。

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 キッカケとなったのは、去る5月6日に東京ドームで34年ぶりに実現した元世界2階級制覇王者ルイス・ネリ(メキシコ)との防衛戦。「圧倒的優位」という下馬評が強かった試合で井上は初回にプロ初ダウンを喫する衝撃的展開を見せる。しかし、「ダメージはさほどなかった」と語った31歳は、そこから2、5、6回にそれぞれダウンを奪取。最終的に6回1分22秒でのTKO勝ちを収めていた。

 ネリの一打に倒れながらもセンセーショナルに締めくくった。そんな勝利を経て、井上の地位をどこに置くべきかは、「ボクシングの本場」である米メディアでもしきりに論じられてきた。とりわけヘビー級の4団体統一王者オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)、WBAスーパー・WBC・WBOスーパー世界ウェルター級統一王者テレンス・クロフォード(米国)を含めた3人の2階級での4団体統一達成者の中で誰が一番かを決める議論は白熱している。

 現地時間6月1日には、米ボクシング専門サイト『Bad Left Hook』が階級を超えた格付けランク「パウンド・フォー・パウンド(PFP)」の最新版を公表。同サイトの記者投票の末に、井上は1位となり、そこにウシクとクロフォードが順に続く結果となった。

 井上を1位として投票したパトリック・スタンバーグ記者は「ウシクをトップに据えるという人に異論があるわけではない」と前置きをし、日本のメガスターに最高評価を下したワケを論じている。

「私はイノウエの圧倒的な勝利を見過ごせない。ウシクのヘビー級での勝利は苦戦を強いられることも多く、激闘の過程で少なくとも数回は障害にぶつかることがある。イノウエも、直近の試合で片目だけでドネアと戦った時以来の問題に直面した。だが、それは彼の階級で2番目に強力な単発パンチャーが放った全力カウンターだった。

 そして、イノウエは直後に余裕を持って立ち上がり、今年最も暴力的な形でのノックアウトで復讐した。ルイス・ネリという男については語るべきことがたくさんあるが、彼は列車のような打撃の持ち主であり、世界でも有数のタフさもある。そんなネリにイノウエがしたことは普通ではない」

 さらにスタンバーグ記者は「ウシクは世代を超えた優れた才能の持ち主ではあるが、井上には致命的な魅力がある」とも強調。井上を1位に押し上げた理由を熱っぽく記してもいる。

 数多の名手を生み出してきたボクシング界において、「誰が至強か」という論争は絶えず繰り返されてきた。ただ、その中心に日本人、それも軽量級の戦士がいるという事実こそが、井上の凄みを物語っていると言えよう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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