ドネアが演じた激闘が井上に対する思わぬ論争を生んだ。(C)Getty Images  井上尚弥(大橋)の真価を問う、ひとつの投稿が話題となった。それはXでボクシング・ファンが投じたもので、21年5月に実施されたWBC世…

 

ドネアが演じた激闘が井上に対する思わぬ論争を生んだ。(C)Getty Images

 

 井上尚弥(大橋)の真価を問う、ひとつの投稿が話題となった。それはXでボクシング・ファンが投じたもので、21年5月に実施されたWBC世界バンタム級タイトルマッチの動画が添付されていた。

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 まさに衝撃的な試合だった。当時王者だったノルディーヌ・ウバーリ(フランス)を、挑戦者のノニト・ドネア(フィリピン)が圧倒。38歳という年齢を感じさせずに4回KOで勝利し、見事に王座返り咲きを果たしたのである。

 いわゆる“大ベテラン”の領域に入っていたドネアの懐かしい一戦がクローズアップされると、約1年後に2回TKOで圧勝する井上に対する意見も殺到。そのなかには「やはりイノウエは本当に強いファイターと戦っていない」との異論も噴出した。

 ただ、米識者からは井上を軽んじる声に反発も上がった。米老舗誌『The RING』の編集長を務めるダグラス・フィッシャー氏はウバーリ戦の模様を掲載した投稿を自身のXで引用。そして、こう続けている。

「この時のドネアを『老害』や『年寄り』と扱って、イノウエの評価を貶めようとする愚か者たちは、この試合がイノウエとドネアの第1戦と第2戦の間に起こったという事実を無視している」

 以前から井上を「唯一無二」と評するフィッシャー氏は、「ある動画配信者は、イノウエの経歴に水を差すのが大好きだ」というフォロワーからの指摘に、「私がよく耳にすることわざに『バカは直らない』とある」「彼らは頭が鈍い」と反応。さらに「彼らの言うことを真剣に受け止めることはできない。連中がイノウエに要求することは、アメリカ人のお気に入りである選手には求めていないことだからだ」と断言。アメリカにある井上を軽視する風潮を皮肉った。

 今も色褪せないドネアの激闘。それは奇しくも日本が生んだ“怪物”に対する論争にも繋がっている。

 

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

 

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