レッドブルには強力なライバルたちが居並ぶが果たして…(C)Getty Images

 F1で4年目のシーズンを戦うRBの角田裕毅が5月26日の第8戦モナコGPで8位でゴールし、3戦連続で入賞を果たした。ベテランのダニエル・リカルド(オーストラリア)とコンビを組んでいるが、決勝で上位でフィニッシュされたのは開幕戦の1回だけ。マイアミGPのスプリントではリカルド4位、角田8位となったものの、角田がチームメートを圧倒し続けている。

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 角田が急成長した理由は何か。参戦4年目になって経験値が増えたこともあるが、実質的にチームのエースに据えていることで角田の意向が反映され、チームのタイヤ戦略がうまく回り出したことも好調になった一因という。

 昨季は予選で好位置につけながら決勝では戦略がかみあわずに順位を下げるケースが多かった。そこでチームのストラテジスト(レース戦略担当)を第3戦オーストラリアGPから変更。レースを柔軟に対応できるようになった。

 前戦モナコがその典型だ。8番グリッドからスタートし、そのまま8番手をキープしたが、マシンの性能が上回る上位のマシンにあえて抵抗せず、十分過ぎるほどペースを落としてタイヤをいたわる戦略に出た。残り12周ほどでチームの無線で「戦略的に十分なマージンができたので、今からプッシュして構わない」と指示を受けると、「それが聞きたかったことだよ」とペースを一気に上げた。

 すぐにカッとなる性格で、レース中の戦略にもストレスを抱えることが多かったようだが、戦略がかみあえば、機嫌を損ねるようなこともない。レッドブルグループの選手人事を統括するアドバイザーのヘルムート・マルコも「ユウキは一貫して速いことが示された。最大の問題だった感情のコントロールもできている」と確実な成長ぶりを指摘する。

 日本のスーパーフォーミュラやF1に併催されるF2がワンメークマシンで争うシリーズがプレタポルテ(既製服)なら、F1はそれぞれがオリジナルマシンを使うオートクチュール(仕立服)。チームでナンバーワンのドライバーの意見がマシン開発にフィードバックされることから、RBも昨季からエース格の角田の走りにマッチしたマシンに徐々になってきたといえる。

 モナコGP終了時の角田のドライバーズランキングは10位。すでに昨季の獲得ポイントを上回っていチームでナンバーワンのドライバーの意見がマシン開発にフィードバックされることから、RBも昨季からエース格の角田の走りにマッチしたマシンに徐々になってきたといえる。

 モナコGP終了時の角田のドライバーズランキングは10位。すでに昨季の獲得ポイントを上回っている。日本人の過去最上位は2004年にBAR・ホンダの佐藤琢磨が獲得した年間8位。それに並ぶのは難しそうだが、F1内では高く評価されている。

 セルジオ・ペレスが来季もレッドブルに残留する見込みとなったと報じられてはいるものの、角田に対してはシーズン中のレッドブル昇格を期待する声も根強く、安定してポイントを稼ぐようになれば、他のチームもほっておかないだろう。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]


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