パールカップ優勝を目指す久米詩 photo by Takahashi Manabu「第2回パールカップ」直前インタビュー① 久米詩 地元の声援を背に受け、児玉碧衣が完全優勝を果たした「第2回オールガールズクラシック」(4月26日…


パールカップ優勝を目指す久米詩

 photo by Takahashi Manabu

「第2回パールカップ」直前インタビュー① 久米詩

 地元の声援を背に受け、児玉碧衣が完全優勝を果たした「第2回オールガールズクラシック」(4月26日~28日)。その興奮も冷めやらぬなか、ガールズケイリンの大舞台「GⅠ開催」が再びやってくる。「第2回パールカップ」が6月11日(火)から6月13日(木)の3日間、大阪府の岸和田競輪場で開催される。

 GⅠ開催は、優勝者に年末の大一番「ガールズグランプリ」への出場権が与えられる年に3度の大舞台。そのなかでパールカップは東西対抗戦形式で予選・準決勝を実施する特殊なルールとなっている。出場選手は、東日本エリア、西日本エリアから各14選手ずつ、合計28選手。前述の児玉碧衣や、3月のガールズケイリンコレクション優勝など好調をキープする坂口楓華らがおり、今が旬の強豪選手が勢ぞろいする。

 そのなかで優勝候補のひとりとして挙げられるのが、昨年末にガールズグランプリ初出場を果たした久米詩(静岡・116期)。昨年のパールカップでは2着となった彼女に、今開催に向けた意気込みを聞いた。

【短期間で2度の落車】

──2024年も5カ月が過ぎましたが、ここまでの自己評価はいかがでしょうか。

 状態はずっと悪くなかったんですが、4月中旬の京都向日町競輪で落車してしまって、その後の2024ジャパントラックカップⅠの女子ケイリン決勝(5月10日)でも落車があって、体の感覚がズレてしまったという感じです。今は回復して、練習もできています。ただガールズケイリンの普通開催では走っていないので、実際はどうかわからない面もありますが、影響はないと思っています。

──今回のパールカップが4月のオールガールズクラシックに続いて今年2度目のGⅠ開催となりますが、久米選手はGⅠへの意識やモチベーションはいかがでしょうか。

 GⅠは優勝すればガールズグランプリの権利も獲れますし、やっぱり気持ちを入れて練習しています。ここで勝ってグランプリ出場を決めたいなという気持ちはありますね。

──昨年は賞金ランキング上位でガールズグランプリへの出場権を獲得しましたが、今年は落車の影響もありランキング17位(5月29日時点)となっています。GⅠ優勝での出場権獲得への意識も高いのではないでしょうか。

 そうですね。ただ、昨年からGⅠ以外のレースでも勝ちきれるようになることを個人的な課題にしていますので、しっかりと練習で力をつけながらGⅠにピークを持っていければと考えています。

──大きなレースに向けて特別な調整や、あるいはゲン担ぎのようなことはされますか。

 ゲン担ぎはしないですね。ピーキングについてもまだ要領を掴みきってはいないので、そこまで特別な調整と言えることはしていないです。

──ほかの選手からはGⅠ開催ならではの緊張感やふだんどおりに走れない特別感を覚えるという声も聞かれますが、久米選手の体感ではどうでしょうか。

 オールガールズクラシックでは、まだそこまでピリついた感じはなかったと思いますね。ほかの大きなレースと変わらないですし、個人的には気持ちを入れすぎて空回りすることもこれまで少なかったほうだと思います。パールカップの東西対抗についても、ガールズはライン(※)がないですから「あの選手は西にいるな、東にいるな」くらいの感覚ですね(笑)。

※同競技場、同県、同地域などの選手同士が組んで並んで走ること

──では特定の選手を意識することもありませんか。

 あまり意識しないようにはしています。気になることはありますけど、自分の走りができたら一番いいかなと思っているので。

──その「自分の走り」とは、具体的にどのような形でしょうか。

 理想は、どんな展開になっても臨機応変に対応できることですね。それができたら今以上に成績も安定して強くなれるんじゃないかなと思います。(けん制し合った結果、誰も走りだそうとしなかった)オールガールズクラシック決勝のような特殊な展開になっても、自分から前を取って勝てるくらいの力をつけられたらと、練習しています。


成長著しい久米詩

 photo by Takahashi Manabu

【楽しいから頑張れる】

──GⅠ開催となると賞金も高額になりますが、その使い道を考えることはありますか。

 決めてないですね。欲しい時に欲しいものを買いますし、レースで勝った時に自分にご褒美とかもないんです。

──何かそういったモチベーションがないと、厳しい練習を頑張るための気持ちが切れそうになることもあるのではないでしょうか。

 たまにありますね。「何のためにこんなに全力で自転車こいでいるんだろう」と思うことが。

──そういった壁に当たった時は、どうやって乗り越えているのでしょうか。

 結局「楽しいから」というひと言になると思います。壁を乗り越えることも楽しいですけど、それよりも過程が楽しいんですよね。ですから、(壁を感じるような)ストレスはないんですけど、でも時々考えすぎちゃうことはあります。頭が固くなって柔軟に考えられないというか、リフレッシュする時間も大事なのにそれができなくて、無意識にずっと考えていることがありますね。

──では、久米さんにとって、一番いいメンタルはどういう状態なのでしょうか。

「無」の状態じゃないでしょうかね。レースでその瞬間に何をしたらいいか、ということに自然と焦点があう。意識的にそういう状態に持っていければいいですね。

──「無」の状態で本番に挑めるよう期待しています。最後にパールカップに向けての意気込みをお願いします。

 昨年のパールカップではすごく充実した3日間を過ごせたので、今年は(児玉)碧衣さんにリベンジじゃないですけど、いいレースができるように頑張りたいと思います!

【Profile】
久米詩(くめ・うた)
1999年9月3日生まれ、京都府出身。高校まで硬式テニスに励み、卒業後に競輪学校に入学。2019年7月にデビューし、同年10月に初優勝を飾る。2020年にはデビュー2年未満の選手で競うガールズ フレッシュクイーンで優勝。2021年に初めて特別レースのガールズケイリンコレクションに出場し、2023年5月の同レースで初優勝。同年7月のガールズケイリンフェスティバル2023も制す。年末にはガールズグランプリに初出場した。