ちょうど10年前、14年の安田記念は1強ムードだった。主役はジャスタウェイ。3月のドバイデューティフリーを6馬身1/4差で圧勝。当時の世界ランキング単独1位となる130ポンドのレーティングを獲得し、これが凱旋レースだった。  ただ、風雲…

 ちょうど10年前、14年の安田記念は1強ムードだった。主役はジャスタウェイ。3月のドバイデューティフリーを6馬身1/4差で圧勝。当時の世界ランキング単独1位となる130ポンドのレーティングを獲得し、これが凱旋レースだった。

 ただ、風雲急を告げる情勢だったことも、また確かだった。前週のレースで主戦の福永祐一騎手が騎乗停止となったため、須貝尚介調教師の騎手時代の同期でもある柴田善臣騎手が急遽、代打を務めることに。また、レース前日からの雨で、馬場は極悪ともいえる不良。府中は何が起きてもおかしくない雰囲気に包まれていた。

 レースは中団から。馬群の中で脚をためた。迎えた直線、馬群の中に進路を取ると、ジワジワと前に接近する。ひと足先に先頭に立ったのは、16番人気のグランプリボス。三浦皇成騎手のGI初制覇か。そう思われた瞬間、内から迫ったのがジャスタウェイ。ゴール寸前で僅かに捉えて、天皇賞(秋)、ドバイデューティフリーに続く3つ目のGIタイトルを獲得したのだった。

 それ以前に2回の騎乗経験があったとはいえ、GIで代打を務め、しっかりと結果を出すあたりは、さすが経験豊富な大ベテラン。この手綱捌きには須貝調教師も感謝しきり。雨に打たれながら、多くのファンも祝福の拍手を送っていた。