井上との対戦に意欲を示してきたグッドマン。怪物に向けた牙はどこへ消えたのか。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext 絶対王者への挑戦権を失いかねないリスクのある決断に波紋は広がっている。 …
井上との対戦に意欲を示してきたグッドマン。怪物に向けた牙はどこへ消えたのか。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
絶対王者への挑戦権を失いかねないリスクのある決断に波紋は広がっている。
現地時間5月28日、ボクシングのIBF＆WBO世界スーパーバンタム級1位に立つサム・グッドマン（豪州）は、来る7月10日にWBC同級8位のチャイノイ・ウォラウト（タイ）と調整試合を行うと正式発表。これにより、9月開催が有力視されていた世界4団体スーパーバンタム級統一王者・井上尚弥（大橋）との対戦は先延ばしになることが濃厚となった。
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王者の“ラブコール”を後回しにする驚きの決断だ。去る5月6日に東京ドームで行われたルイス・ネリ（メキシコ）との防衛戦後に井上に呼び込まれたグッドマンは、「グッドマンと防衛戦の交渉をしていきたい」とマイクを渡されると、「ベルト返上か、俺と戦うか」と主張。同日には日本のメディアに「弱点はいくつか見えた」と明かし、“打倒・井上”を公言していた。
両陣営が交渉の事実を公にし、対戦合意は秒読み段階と見られていた。だが、かねてから7月開催を求めていたグッドマン陣営は、9月開催を申し出た井上陣営のオファーを拒否。今回のウォラウト戦を正式に発表した。
王者を“拒否する”というのは、挑戦権をはく奪される可能性もあるリスクのある行動だ。リング上で向かい合ったネリ戦後に、母国の元世界4階級制覇王者のジェフ・フェネック氏が「自殺行為だ」と表現した井上との大一番を避けるような振る舞いとも言える。
もっとも、当人は周囲の喧騒はどこ吹く風だ。自身が契約する豪興行大手『No Limit Boxing』で井上戦の12月開催を改めて求めたグッドマンは、「7月にやるべき仕事がある。何が自分に必要なのかは分かっている。そのために活動的でいなければならないし、忙しくしていなければならない」と主張。7月の試合を行わなかった場合に、3月の試合からブランクが空くことになる9月開催に対する懸念を示した。
一方で「決して逃げているわけではない」と豪語する25歳は、こうも続けている。
「イノウエには弱点を突けば、勝てると考えている。7月の試合があるから仕方がない。9月に対戦することができないのは残念だ」
井上のプロモートを支える米興行大手『TOP RANK』のボブ・アラム会長は、グッドマン戦について「彼（グッドマン）は間違いなく年内にイノウエと戦う」と米スポーツ専門局『FOX Sports』で公言。この“御大”の言葉を鵜呑みにすれば、12月の対戦がやはり現実的なのかもしれない。
いまだ9月の対戦が正式に流れたというわけではないが、弱腰な感が否めないグッドマンが“モンスター”から一歩後退したのは間違いない。以前から「イノウエとの試合で『お前には倒せない』と批判する批評家たちに『くそったれ』と言って、見せつけてやりたい」と言っていた威勢はどこへ行ってしまったのだろうか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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