これまで井上との対戦願望を隠してこなかったグッドマン。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext、(C)Getty Images 異例の決断の真意を本人が明かした。 物議を醸す行動に出たのは、ボクシング世界ス…

これまで井上との対戦願望を隠してこなかったグッドマン。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext、(C)Getty Images

 異例の決断の真意を本人が明かした。

 物議を醸す行動に出たのは、ボクシング世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)の次期防衛戦の有力な対戦候補だったIBF、WBOで1位に立つサム・グッドマン(豪州)だ。

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 去る5月6日に東京ドームで行われたルイス・ネリ(メキシコ)との防衛戦後に井上に呼び込まれ、リング上に立ったグッドマンは「隣にいるグッドマンと防衛戦の交渉をしていきたい」と言葉を向けられ、「ベルト返上か、俺と戦うか」と呼応。さらに自身が契約する豪興行大手『No Limit Boxing』のインタビューでも「誰も無敵ではないし、誰かがスーパーヒーローにもなれる」と大胆に言ってのけるなど、“モンスター”への挑戦は合意間近と見られていた。

 しかし、合意間近だった両陣営の交渉は事態が急変。今年3月にマーク・シュライブス(豪州)との試合を終えていたグッドマン陣営は7月に国内で調整試合を行う意向を示唆。9月の対戦を望んでいた井上側のオファーを断ったのだ。

 すでに首都圏に会場を確保している大橋秀行会長も粘り強い交渉を続けていたが、現地時間5月28日に『No Limit Boxing』は、グッドマンが7月10日に母国で、WBCの同級8位につけるチャイノイ・ウォラウト(タイ)とのノンタイトル戦を行なうと正式に発表。次期挑戦者としての防衛戦実施は困難となった。

 王者側のオファーを挑戦者が拒否する異例の事態に波紋は広がった。そうしたなかで、グッドマン本人は、周囲の喧騒を意に介していない。28日に開かれたウォラウト戦決定の会見で、井上戦を“後回し”にした理由について「イノウエという世界レベルに挑戦する前に、もう1度テストが必要だった。これはチームが考えてくれたプランで、俺はチームを信頼している」と説明。そして、こうも続けている。

「俺は彼らのプロセスと計画を信頼している。これはモンスター(井上)と闘うためだけでなく、モンスターを打ち負かすために、可能な限りベストな状態にするための計画だ。この試合が終わったら、しばらく欠場して、自分のチャンスを待つ。この試合で俺は大きなリスクを冒して戦う。ボクシングを始めたのは億万長者になるためではなく、世界の頂点を極めるためだ」

 米スポーツ専門局『FOX Sports』の豪州版によれば、すでに12月に井上と対戦する意向を固めているというグッドマン。ただ、来年以降にフェザーへの転級も視野に入れている井上は、WBAの指名挑戦権を有する元WBA&IBF世界同級王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)との対戦も囁かれている状況ではある。さらに王者側の“誘い”を蹴ったために、グッドマンが挑戦権利をはく奪される可能性も小さくない。

 果たして、12月に望む井上との決戦は実現するのか。母国での興行を優先したグッドマン陣営の行動によって、その行く末は完全に不透明な状態となった。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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