井上との試合を東京ドームの中心で受諾していたグッドマン。それだけに“延期”の判断は違和感を抱かせる。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext 現地時間5月28日、ボクシング世界スーパーバンタム級のIBF、W…

井上との試合を東京ドームの中心で受諾していたグッドマン。それだけに“延期”の判断は違和感を抱かせる。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 現地時間5月28日、ボクシング世界スーパーバンタム級のIBF、WBOで1位に立つサム・グッドマン(豪州)は、来る7月10日に母国シドニーで、WBCの同級8位につけるチャイノイ・ウォラウト(タイ)とのノンタイトル戦を行なうと正式に発表。

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 これにより今年9月に予定されていた4団体統一王者の井上尚弥(31、大橋)が9月に予定している防衛戦の相手は、グッドマンではなく元IBF世界同級王者のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)へ変更されることが濃厚になった。

 衝撃すらある、まさかの展開だ。去る5月6日に東京ドームで行われた井上のルイス・ネリ(メキシコ)との防衛戦後、リングに上げられたグッドマンは「ベルトを返上するか、俺とやるかだ」と対戦意思を表明。この時点で両陣営の交渉は合意まで秒読み段階にあると見られていた。

 そうしたなかで、グッドマン陣営はウォラウトとの調整試合を優先。大橋秀行会長も粘り強い交渉を続けていたが、まとまらなかった模様だ。現地時間5月27日に米スポーツ専門局『FOX Sports』の豪州版は「グッドマンはイノウエと12月の対戦を望んでおり、少なくとも7月にもう1試合をさせ、その後に4団体統一王者(井上)に全神経を集中させたいと考えている」と報道している。

 挑戦者側が絶対王者の申し出を断る異例とも言える事態に驚きは隠せない。ウォラウトとの調整試合を発表したグッドマンをサポートする豪興行大手『No Limit Boxing』は公式サイト上で「サム・グッドマンは注目の一戦でタイのKOアーティストと対戦し、そのうえで誰もが認める王者であるナオヤ・イノウエとの100万ドル(約1億5700万円)の賞金獲得のチャンスを賭ける」と記載。あくまで12月にチャンスが舞い込むという想定を綴っている。

 もっとも、“モンスター”とのメガマッチが実現するかは不透明だ。

 というのも、12月には、WBAの指名挑戦権を有する元WBA&IBF世界同級王者のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)も手ぐすねを引いて、井上との対戦に備えている状況。さらに言えば、王者側のオファーを拒否したグッドマンが指名挑戦権を剥奪される可能性すらある。

 グッドマン陣営が自分たちの興行ペースを保とうとした末の判断と考えられる今回の決断。しかし、本人が「イノウエとの試合はアスリートとしてやりたい試合じゃないか?」とも豪語していただけに、急転直下での交渉決裂に違和感を覚えずにはいられない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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