木三原さくら「恋して競輪ハンター」157 Hunting4月30日から、いわき平競輪で開催されたG1『第78回日本選手権競輪』。開催前日の29日には業界初の試み「ダービーイブ」が行われ、DJパフォーマンスにダンスにと開催前からかなりの盛り上…

木三原さくら「恋して競輪ハンター」157 Hunting

4月30日から、いわき平競輪で開催されたG1『第78回日本選手権競輪』。開催前日の29日には業界初の試み「ダービーイブ」が行われ、DJパフォーマンスにダンスにと開催前からかなりの盛り上がりを見せていたそうです。
私もいわき平競輪の公式YouTube通称ソラモギの放送で、現地に足を運びました。ただ、ダービーの開催5日目が玉野からの移動日で、競輪場に入ったのは最終日の朝。現地がにぎわっていることは、なんとなく想像していましたが、いざ競輪場に入ると想像を超える盛り上がりを感じました。


最終日、メインスタンドはもちろん、バンクの内、そして外の回廊にもお客さんがたくさん。それぞれに、いろいろな角度からレースを楽しんでいる姿が見られました。「いい景色だなあ」と思わず言葉があふれました。それも1度ではなく。いつ見ても、たくさんのファンが競輪を楽しみに来てくれている姿が見られて、毎レース選手に送られる熱い声援を聞いていて、携わる人間としてとても幸せでした。

そんな中、迎えた決勝戦。優勝したのは平原康多選手でした。悲願のダービー優勝に、表彰式でこぼれた涙。多くの人が、その涙にもらい泣きしたのではないでしょうか。もちろん、私もその一人で、今も思い返してウルウルしながら、これを書いています。
関東が2つのラインに分かれて、そして単騎の自力選手も4人。人気は単騎勢から特に清水裕友選手と古性優作選手に集まっていました。誰にとっても簡単なレースではない中で、前を回って仕掛けた吉田拓矢選手、そして、後ろを固めた武藤龍生選手、もっと言えば勝ち上がりの中で連携してきた選手たち、関東の仲間たちの想いを繋いだ平原選手の優勝は本当に感動しました。

私はバックストレッチの内側でレースを見ていたのですが、ゴール後、大声援の中を平原選手が通り過ぎて行った時の光景は、今でも鮮やかに思い出せます。西日が差す3コーナー、高々と拳を天に突きあげた後ろ姿は、とても美しかった。一瞬のことに写真を撮らなかったことを後悔しつつも、絶対に写真にはおさめきれないと思うくらい、逆光の中でも強く大きく、そして何より美しく見えました。
レースはもちろん、レース後まで、最高の場所で最高のレースを見られたこと。不思議な確信と圧倒的幸福感と共に、目に焼き付いたその光景は、今でも消えることはなく脳裏によみがえり、これからも私の人生の特別な瞬間として、大切に記憶されることでしょう。

前回のコラムに引き続き、現地観戦だからこその競輪の醍醐味を連続して味わっている今日この頃。便利な時代になり、映像は一瞬で届くだけでなく、よりクリアで鮮やかになっています。それでも、というか、だからこそ、「生」で見たものの感動が何倍もの衝撃をもって記憶に刻まれるのかもしれません。「生の競輪」の美しさ、ぜひまだ見てない人には見てもらいたいです。8Kも4Dもびっくりの迫力と感動を、一緒に体験しましょう。

※文中の写真はPerfecta Navi編集部

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【恋して競輪ハンター・過去コラム】
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【略歴】


木三原さくら(きみはら・さくら)

1989年3月28日生 岐阜県出身

2013年夏に松戸競輪場で
ニコニコ生放送チャリチャンのアシスタントとして競輪デビュー。
以降、松戸競輪や平塚競輪のF1、F2を中心に競輪を自腹購入しながら学んでいく。
番組内では「競輪狂」と、呼ばれることもあるほど競輪にドはまり。
好きな選手のタイプは徹底先行!
好きな買い方は初手から展開を考えて、1着固定のフォーメーション。
“おいしいワイド”を探すことも楽しみにしている。