東京ドーム興行でオープニングマッチに出ていたドヘニー。井上との対戦をここにきてぶち上げている。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext「史上最強」の呼び声もある井上尚弥(大橋)は、次に誰と戦うのか。注目され…

東京ドーム興行でオープニングマッチに出ていたドヘニー。井上との対戦をここにきてぶち上げている。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

「史上最強」の呼び声もある井上尚弥(大橋)は、次に誰と戦うのか。注目される次戦の交渉が錯そうしている。

 去る5月6日に東京ドームで34年ぶりに実現したボクシングの興行にスーパーバンタム級4団体統一王者としてメインマッチのリングに立った井上は、世界2階級制覇王者のルイス・ネリ(メキシコ)にプロ初ダウンを奪われながらも、3つのダウンを奪い返す圧巻の内容で6回TKO勝ち。2年ぶりの防衛戦で世界を熱狂させた。

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 注目される次戦を巡っては、IBF&WBOの同級1位で2団体の指名挑戦権を持つサム・グッドマン(豪州)との対戦が最有力視はされている。ネリ戦後にリング上に上げられた際に25歳の若武者は「俺はもう1年以上もチャンピオンが戦うことを義務づけられている挑戦者なんだ。あんたはベルトを返上するか、俺と戦うかだ」と堂々と宣言。井上との対戦に意気込んだ。

 両陣営は水面下で話し合いを重ねてはいる。しかし、今年3月に試合を終えていたグッドマンは7月に豪州での試合を決定済み。9月に世界戦、それも井上相手となると調整間隔に問題があるとして交渉が難航しているという。

 想定される興行規模やファイトマネーを考慮すれば、グッドマン陣営が井上の望んでいる9月対戦を受け入れる可能性はゼロではない。だが、交渉がこじれた場合の代役もすでに浮上している。元IBF世界同級王者で、WBOアジアパシフィック同級王者のテレンス・ジョン・ドヘニー(アイルランド)だ。

 ドヘニーは、ネリが体重超過した場合のリザーブ選手として、東京ドーム大会のオープニングファイトに登場。ブリル・バヨゴス(フィリピン)に4回TKO勝利し、試合後には「日本はホームと感じる唯一の場所だ」と自身のXに投稿するなど、親日ぶりをアピールしてもいた。

 そんな37歳のベテラン戦士は、ヨーロッパのボクシング情報などを発信する母国の専門メディア『Irish Boxing』のインタビューで「(井上の次戦相手交渉は)今は混戦状態だ。ボブ・アラム(米興行大手『Top Rank』のCEO)が行った最新の声明によれば、9月の対戦候補は、俺が最有力だ」と断言。井上との対戦願望を打ち明けている。

「グッドマンのチームは(井上とは)今年の後半か2025年の最初に戦うことを希望している。だからリングに上がっての呼びかけは日本での知名度を上げるためにやったことだと思う。正直なところ、俺がリングに飛び込んでマイクを握って、自分の意見を言いたかった。けど、グッとこらえて、我慢したんだ。

 どちらにしても、俺にもタイトルを手にするチャンスはある。WBOランキングで3位につけていて、もうすぐ2位に昇格する予定だ。今年はどのような展開になったとしても、少なくともイノウエか、空位の王座(井上がベルトを返上した場合の挑戦)か、どちらかのコーナーに立つことになる」

 もっとも、ドヘニーの“希望”が叶うかは不透明ではある。グッドマンが1位となっているIBFとWBOの両団体が指名試合の延期を認めるのか、そして井上自身がモチベーションをいかに保つのかといった問題が山積しているからだ。

 混沌としている状況からいかにベストな答えを導き出すか。今こそ、抜群の交渉力を発揮してきた井上陣営の手腕が問われている。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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