リカルド(右)のシートは、今のところ安泰のようだ(C)Getty Images

 RBのダニエル・リカルド(オーストラリア)の解雇説がとびかっている。早ければ次の第7戦エミリア・ロマーニャGP(イタリア・イモラ、5月19日決勝)でレッドブルのリザーブドライバーを務めるリアム・ローソン(ニュージーランド)にスイッチするとの臆測も巻き起こった。

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 が、欧州メディアによると、レッドブルで選手の人選を統括するアドバイザーのヘルムート・マルコ氏は「噂はナンセンスだ。リアムのマネジャーがあそこ(前戦マイアミGP)にはいた。彼はある夢を持っているようだが、それがニュージーランドを含むいくつかのメディアに伝わったようだ。イモラで計画されていることは何もない」とし、ローソン側から”リーク”されたものと語った。レッドブル側は周辺から勝手に情報操作されることを良しとしておらず、このままリカルドのシートは安泰なのではとの声も出ている。

 昨季のローソンは左手を骨折したリカルドの代役で中盤の5戦に出場し、シンガポールで9位入賞も果たしたが、レギュラーシートを獲得することができなかった。今季のリカルドは第5戦中国GPまでは入賞ゼロ。チームメートの角田裕毅が入賞3回で評価されているのとは対照的にパフォーマンス不足を指摘されており、ローソンにとっては売り出すチャンスだったのかもしれない。

 誤算だったのはリカルドの前戦マイアミGPだ。決勝前日に行われるスプリントで4位入賞を果たし、5点を獲得。首の皮一枚でレギュラーシートを死守する形となった。

 ローソンにとってもこのまま浪人を続けているわけにはいかない。トロロッソ、アルファタウリを経て現チーム名になったRBはシーズン中に選手交代する事例が多い。現王者のマックス・フェルスタッペンがトロロッソからレッドブルに移籍したのは2016年5月。ピエール・ガスリー(現アルピーヌ)からアレクサンダー・アルボン(現ウィリアムズ)にスイッチしたのが19年8月。角田についても何度も解雇説が飛び交い、逆にレッドブルのセルジオ・ペレスとのトレード説も浮上している。

 リカルド側も移籍したマクラーレンで1年目に優勝をもたらしながら2年目に冷や飯を食わされたこともあり、2年ぶりにつかんだF1のレギュラーシートを是が非でも死守したいとの思いがある。マイアミGPでの奮闘ぶりはそれを如実に表している。

 ローソン側も黙って機をうかがっていれば、すんなりと声がかかっていたかもしれない。その意味ではあからさまにうわさを流布してマルコ氏を憤慨させたことは失策だったと言わざるを得ない。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]


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