終わってみれば圧勝だったが、井上の1回での初ダウンは世界に衝撃を与えた(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext やはり、「モンスター」のインパクトは強烈だった。 5月6日、東京ドームで行われたプロボクシング…

終わってみれば圧勝だったが、井上の1回での初ダウンは世界に衝撃を与えた(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext

 やはり、「モンスター」のインパクトは強烈だった。

 5月6日、東京ドームで行われたプロボクシングの4大世界戦のメインイベントで、4団体世界スーパーバンタム級統一王者の井上尚弥(大橋)と、元世界2階級制覇王者のルイス・ネリ(メキシコ)が対戦。井上が6回1分22秒TKO勝ちを収め、タイトル防衛に成功した。

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 開始のゴングとともに互いが強打を繰り出した1回では、王者がネリの左フックを浴びダウンというまさかのシーンが展開。だが、2回には逆に井上が狙いすましたカウンターをヒットさせダウンを奪い返す。その後も接近戦が続き、途中には井上があからさまに相手を挑発するアクションをみせながらパンチを繰り出し、ネリも常に離れることなく打ち合いに応じるという緊迫のファイトが繰り広げられた。

 だが大観衆の声援も王者を後押しし、5回に井上が2度目のダウンを奪い、さらに6回にもダメージの大きいネリの顔面を右ストレートで打ち抜くと、すぐさま試合終了のゴングが鳴らされた

 同会場での34年ぶりのボクシング興行、史上初の日本人メインという大役に相応しいフィニッシュで、井上は試合を見守ったボクシングファンの溜飲を下げた。そして、この夜の一戦は、米老舗メディア『The Ring』でも報じられており、王者のベルト防衛に称賛の声を贈っている。

 同メディアは、初回の井上が崩れた場面を「衝撃的なダウン」と表現し、かつてのビッグマッチのシーンに例え、「そのシュールな光景は世界中のボクシングファンを一瞬にしてマイク・タイソン対ジェームズ・ダグラスにフラッシュバックさせた」と綴っている。

 また2回以降、徐々に優位に立っていった井上に対しては、「少なくとも4万人のファンの前で、観客を翻弄し、挑戦者を挑発するほど自信に満ちていた」などと戦いぶりを回想。さらにフィニッシュを迎えた最終ラウンドでは「イノウエはもう食らいつくだけでは飽き足らず仕留めにかかった。疲れの見えるネリをコーナーに追い詰め、右アッパーから右クロスというコンビネーションを放ち、ガッツのある挑戦者をキャンバスに激しく沈めた」と振り返っている。

 同メディアは、「劇的な打ち合いから一方的な打撃戦になったが、イノウエのダイナミックな攻めとネリのタフネスがスリリングだった」とこの激闘を評しながら、試合終了後リング上に現れ、井上の次の相手に名乗りをあげたサム・グッドマン(豪州)との対戦を、以下のように展望している。

「グッドマンはネリ以上のアンダードッグとなるだろうが、あの1ラウンドは彼(そして他の122ポンド、126ポンドのトップ選手たち)に希望を与えたかもしれない」

 試合序盤から試合終了のゴングまで、大会場を沸かせ続けた王者・井上。そして人々の関心は、すでに新たな戦いへと向けられているようだ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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