WBO世界スーパー・ウェルター級6位の亀海喜寛(かめがい よしひろ/帝拳)が8月26日、米国カリフォルニア州カーソンのスタブハブ・センターでキャリア最大のビッグマッチに挑む。元世界4階級制覇王者ミゲール・コットとのWBO世界スーパー・ウェル…
WBO世界スーパー・ウェルター級6位の亀海喜寛(かめがい よしひろ/帝拳)が8月26日、米国カリフォルニア州カーソンのスタブハブ・センターでキャリア最大のビッグマッチに挑む。元世界4階級制覇王者ミゲール・コットとのWBO世界スーパー・ウェルター級タイトルマッチだ。
コットは2004年にWBO世界スーパーライト級王座を獲得したあと、階級を上げながらミドル級まで4階級を制覇した。母国プエルトリコでは国民的な英雄である。フロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオ、サウル・“カネロ”・アルバレスなど時代を代表するビッグネームとも対戦し、いずれも敗れはしたが中量級を代表するボクサーとしての地位を固めてきた。
世界的に選手層の厚い中量級は日本人にとって活躍が困難な階級だ。世界タイトルに挑戦する機会自体が限られており、2009年にWBA世界スーパー・ウェルター級暫定王座を獲得した石田順裕を最後に、日本人がウェルター級より重い階級で王者(暫定を含む)になったことはない。
日本人ボクサーがスーパー・ウェルター級タイトルマッチでコットと対戦するのは、それだけで日本ボクシング界にとって事件と呼べる出来事なのだ。
1試合で10億円を稼ぐ世界的な人気者との対戦には、ロンドン五輪ミドル級金メダリストでWBAミドル級世界ランク1位の村田諒太も、「日本人史上最大の試合かもしれません」とフェイスブックでコメントしている。
「通ると思わなかった」オファーが通って実現したビッグマッチ
あまりにもビッグネームのため、米国の関係者から「次戦はコットにオファーする」と言われたとき、亀海は「何の冗談だ?」と思ったという。中継を担当するHBOが許可するはずない。しかし、予想に反してオファーは通った。
ここには三つの理由がある。ひとつはこの試合がコットにとって、判定で敗れたアルバレス戦以来1年9ヶ月ぶりの復帰戦ということ。ふたつ目は36歳になったコットがキャリア終盤に差し掛かっていることだ。
「リングに戻ってファンにハイレベルな戦いを見せられることに興奮している。亀海はタフで素晴らしい選手だ。しかし彼と戦い、世界タイトルを獲得するための準備はできている。8月26日にリングへ戻るのが待ちきれない」
コットとゴールデンボーイ・プロモーションは、この試合でタイトルを獲得し、王者としてキャリア最後の数試合を華々しい興行にしたいと考えているのだろう。亀海戦で実戦の勘を取り戻し、防衛戦でビッグネームと戦う。そういった青写真がコット陣営にはあるはずだ。
アグレッシブな試合で勝ちにいく
ここまでコット側の事情を推察してみたが、これだけではなぜ数多くいるボクサーのなかで亀海なのかを説明できない。復帰戦の相手に亀海が選ばれた三つ目の理由。それは彼の試合がエキサイティングだからだ。
米国では8戦して3勝3敗2分け。突出した戦績ではないが積極的なファイトで会場を盛り上げられる。2016年9月に行ったヘスス・ソト・カラスとの再戦は、米国のボクシング記者が選ぶ年間最高試合賞の候補にノミネートされた。そうした評判がコット陣営にも届いたのだろう。
ヘスス・ソト・カラスとの再戦(c) Getty Images
コットのネームバリューもあり今回の試合は世界中のボクシングファンが注目している。勝てれば最高だが、それが叶わなかったとしても面白い試合を見せられれば、今後のチャンスにつながっていく。
昔からコットは憧れの選手のひとりだっと言う亀海。だが、ひとたびリングで対峙すれば、相手が誰だろうと殴り倒す準備はできている。
「対戦する相手のことはよく知っています。だけどリング上で向かい合えば彼の戦績や経歴は関係ありません。ファンにアグレッシブな試合を見せて勝ちたいです」
コット戦でアメリカンドリームをつかめるか。
亀海喜寛 参考画像(2016年9月10日)(c)Getty Images