NBAはプレーオフが佳境に差し掛かるも、その裏側では未来を担うプレーヤーたちがプロの境目で準備を進めている。 リーグは5月5…
NBAはプレーオフが佳境に差し掛かるも、その裏側では未来を担うプレーヤーたちがプロの境目で準備を進めている。
リーグは5月5日(現地時間4日)、ドラフト入りを表明した選手たちが球団にアピールする場である「NBAドラフト・コンバイン2024」に招待する78名の選手を発表。そこには、偉大な父レブロン・ジェームズとの共演が期待される南カリフォルニア大学(USC)のポイントガード、ブロニー・ジェームズの名前が記載されていた。
他国のプロリーグのシーズン中であることやケガなどを含む例外を除き、招待選手の参加が必須となるドラフト・コンバインでは、健康診断、病歴の共有、身体測定など、肉体面でのさまざまなテストを受けると同時に、チーム面接やメディア対応、選手開発セッションなどを実施。また、選手が任意で参加する範囲では、5対5のスクリメージや実演形式のドリルも開催される。
ブロニーは、ドラフトでのプロ入り、転校、USCへの残留など、複数のオプションが検討されている選手の1人である。大学初年度は、昨年7月に心肺停止の危機に直面し、先天性の心臓欠陥が発覚。その結果、チームへの帯同が遅れ、アイザイア・コリアーやブーギー・エリスと友好なケミストリーを構築できなかったことから、オンコートで満足のいくパフォーマンスを披露することができず、ドラフト・コンバインは絶好のアピールの場となることだろう。
なお、ブロニーは既述の病状があったことから、フィットネス・トゥ・プレイ・パネルと呼ばれる検査を受け、3人の医師から医学的にNBAでプレーすることができるという認証を受けなければならない。
招待リストには、NBAドラフト2024でトップ10指名を受ける可能性のある選手たちも数多く名を連ねている。中でも昨年、ヴィクター・ウェンバンヤマを送り込んだフランスリーグの有望株は、名前だけでも覚えておく価値があるだろう。
その1人が、JLブールでプレーするザカリー・リサシェである。昨年、ナイキ・フープサミットにも参加したリサシェは、206センチの高身長と長いウイングスパンを活かしたディフェンスに定評のあるフォワード。また、アウトサイドも非常に高確率で、2023-24シーズンのユーロカップでは、1試合平均3.4本を試投し、56.1パーセントの3ポイント成功率を収めており、有望な若手3&Dとしてその将来が期待され、複数のモックドラフトサイトで1位指名が予想されている。
また、リサシェと同じフランスのアンダー世大で同国を代表して戦ってきたアレクサンドル・サールも次世代のスター候補である。オクラホマシティ・サンダーでプレーするオリビエ・サールを兄に持つ同選手は、身長216センチという恵体を持ちながら、このサイズらしから運動能力とシュートタッチを兼ね備え、チェット・ホルムグレンやエバン・モブリーと比較されるプレーヤー。レアル・マドリードやオーバータイム・エリートを経て、現在はオーストラリアのパース・ワイルドキャッツに在籍しており、カットやロールを駆使したペイントエリアへの侵入から繰り出される豪快なダンクはもとより、タッチの良いジャンプショット、ゴール下でのブロックなど、華のある次世代ビッグマンだ。
もちろん、カレッジ出身のタレントも忘れてはならない。その中で指名最上位に挙げられている選手が、コネチカット大学を2年連続のNCAA王者に導いたドノバン・クリンガンである。今シーズン、13.0得点、7.4リバウンド、フィールドゴール成功率63.9パーセントという安定感のあるプレーを披露したクリンガンは、サールを凌ぐ218センチを誇るビッグマンで、驚異的なスキルセットとフィジカルを有効活用し、一度ゴール下に侵入を許すとアンストッパブルな存在となる。スピードにこそ魅力はないが、ショット成功率はタッチの良さと効率の良さの現れであり、オフェンスのファーストオプションになることはなくとも、有望なセンターが不在の球団にとっては魅力的な選択となるはずだ。
「NBAドラフト・コンバイン2024」は、6月27日、28日(同26日、27日)にニューヨークで開催される。新しい才能が発掘される場でもあるだけに、この2日間は現地からのレポートを注視していきたい。
文=Meiji