群馬県の群馬サイクルスポーツセンターを舞台に4月20日、、春の定番レースとも言えるJBCFロードシリーズJプロツアーの第5戦「東日本ロードクラシックDAY1」が開催された。このサーキットは、毎年複数のレースが開催されるお馴染みのコースではあ…

群馬県の群馬サイクルスポーツセンターを舞台に4月20日、、春の定番レースとも言えるJBCFロードシリーズJプロツアーの第5戦「東日本ロードクラシックDAY1」が開催された。
このサーキットは、毎年複数のレースが開催されるお馴染みのコースではあるが、この日のレースは、今季初の「ゴールド」レイティングに指定され、順位に応じて与えられるポイントは通常の1.5倍ほどになる重要なレースとなった。シーズンも本格開催したばかりではあるが、モチベーションの高い選手たちが会場に集まった。

使用されるのは、群馬サイクルスポーツセンターの6kmサーキット。前半は下り基調、後半は上り基調でラスト2kmを切ったところに、仕掛けどころになる心臓破りの坂が待っている。この日はこのコースを25周する150kmという長距離のレースが設定された。





群馬サイクルスポーツセンターの6kmサーキット

スタートラインに並んだのは、オープン参加を含む21チーム133名の選手たち。個人総合で首位に立ち、赤いプロツアーリーダージャージを着るのは石原悠希(シマノレーシング)、U23の首位であり、白いリーダージャージを着るのは寺田吉騎(シマノレーシング)だ。
この日は朝から晴れており、少し暑さを感じる好天となった。観客たちに見送られ、レースがスタート。



133名の選手がいっせいにスタート

早々にアタックが仕掛けられる。選手が飛び出しては、メイン集団に吸収され、決定的な動きが生じず、集団のまま、周回をこなしていく。



各チームからアタックが仕掛けられる



会場は木が伐採され、通常とは異なる雰囲気に

この中で、6周目までに8名の先頭集団が形成された。メンバーは、リーダーチームの冨尾大地(シマノレーシング)、ゴールで強さを見せるスピードマンの今村駿介、山本哲央(以上、チームブリヂストンサイクリング)、何度もJプロツアーを制しており、第3戦を制したばかりのホセ・ビセンテ・トリビオ(マトリックスパワータグ)、第2戦を制した名コンビ岡本隼と草場啓吾(以上、愛三工業レーシングチーム)、さらには、阿見寺俊哉(弱虫ペダルサイクリングチーム)、山口瑛志(レバンテフジ静岡)。長丁場のレースであり、まだ先は長いとはいえ、「勝てる」実力のあるメンバーが多く含まれており、危険な動きと言えよう。



8名の先頭集団が形成された

後続のメイン集団は先頭グループに誰も送り込めなかった宇都宮ブリッツェンが先頭を固め、ペースをコントロール。だが、差は徐々に開き、レース中盤の12周目までに1分以上まで開いてしまった。



メイン集団は先頭に宇都宮ブリッツェンが立ち、コントロール

先頭集団は阿見寺が遅れて7名となったあと、16周目には冨尾と山本が相次いで遅れ、5名の集団となった。だが、ペースは衰えず、メイン集団との差は1分前後のままで縮まらない。



ヴィクトワール広島も牽引に加勢するがペースが上がらない



先頭は3名が遅れ、5名の集団に

差はじわじわと開き始め、18周目に1分16秒に至った。ここでシマノレーシングがメイン集団を牽引し始め、ペースアップを図る。
翌周回には、チームブリヂストンサイクリングも先頭に加わり、協調してペースを上げていく。ここで先頭集団との差は一気に縮まった。



シマノレーシング、チームブリヂストンサイクリングが牽引に加わり、ペースアップ。先頭5名に迫る

21周目、ついにメイン集団が先頭集団を吸収した。この隙をついて、圧倒的な独走力を持ち、22年にはタイムトライアルの全日本タイトルを獲得した金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)と渡辺一気(京都産業大学)の2名がカウンターアタックを仕掛け、飛び出した。



金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)と渡辺一気(京都産業大学)がカウンターアタック

残り距離が短くなってからの金子の動きに危険を感じた當原隼人(愛三工業レーシングチーム)、河野翔輝(チームブリヂストンサイクリング)の2名が追走するが、捕えることはできなかった。メイン集団も思うようにペースを上げられず再び差が開いていく。



集団は足並みが揃わず、思うようなペースアップがかなわない

残り2周となる24周目、登り区間で金子がアタック。この動きに渡辺は反応できず、金子が単独で先行し、独走状態で最終周回へ入る。



上り区間で金子が仕掛け、食らいつけない渡辺を振り切り、独走態勢に入った

メイン集団はペースアップを図り、差を縮めにかかったものの、金子を捕らえることはできなかった。



最終周回では全日本タイムトライアル王者のタイトルを持つ金子がメイン集団を寄せ付けない圧巻の独走を見せた

金子は最終周回を単独で走り切り、悠々とフィニッシュ。後続に30秒以上の差を残し、ホームである群馬で、最高の形で優勝し、Jプロツアー通算4勝目を挙げた。去年の同大会も制しており、連覇という形になった。



後続に30秒以上の差を確保し、悠々とフィニッシュ。大会連覇を達成した

2位には、メイン集団が追いつき、アレクサンドロス・アグロティス(マトリックスパワータグ)が、3位にはフランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)が入っている。



優勝した金子、2位のアレクサンドロス・アグロティス、3位のフランシスコ・マンセボ(共にマトリックスパワータグ)

金子は「地元群馬で連勝を飾れて嬉しい」と笑顔で率直な喜びを述べ、「地元ということで多くの応援をいただき、力になった」と応援への感謝を語った。全日本についての抱負を問われると「2年ぶりに、タイムトライアルでタイトルを取れるようにがんばりたい」とすっきりした笑顔で語り、インタビューを締めくくった。
レースの結果を受け、個人総合首位が入れ替わり、岡本隼(愛三工業レーシングチーム)がリーダージャージを手に入れ、U23の首位は変わらず、寺田が守ることになった。

翌日は東日本ロードクラシックDAY2が開催。同じコースでありながらも、毎年、まったく異なるレースが展開される。個人総合首位は岡本に動いたが、翌レースではまた変動が生まれるのだろうか、注目が集まった。

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【結果】
Jプロツアー2024第5戦
東日本ロードクラシックDAY1 25周150km

1位/金子宗平(群馬グリフィンレーシングチーム)3時間37分54秒
2位/アレクサンドロス・アグロティス(マトリックスパワータグ)+33秒
3位/フランシスコ・マンセボ(マトリックスパワータグ)
4位/レオネル・キンテロ(VICTOIRE 広島)
5位/谷順成(宇都宮ブリッツェン)+34秒

【Jプロツアーリーダー】
岡本隼(愛三工業レーシングチーム)

【U23リーダー】
寺田吉騎(シマノレーシング)

写真: JBCF 一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟

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【Jプロツアー2024・開催レポート】
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